ひろぎんホールディングス 執行役員 DX統括部長の石原和幸氏(撮影:榊水麗)

 広島銀行を中核とするひろぎんグループ。同グループを統括するひろぎんホールディングスでは、企業のDX支援を行うコンサルティング組織を2025年4月に新設した。同社は数年がかりで全社的なDXを推進しており、その知見を地域や企業に還元するという。“地銀”の枠組みを超える取り組みの根底には何があるのか。DXの推進力を生み出す秘訣とは。同社執行役員DX統括部長の石原和幸氏に聞いた。

「DXを当たり前にする」文化づくり

――ひろぎんホールディングス(HD)では、約3700名のグループ全社員を巻き込んだDXと、ITリテラシーの底上げを進めています。2028年までに、グループ社員の80%が「ITパスポート」資格を取得することを目標に掲げており、すでに66%の水準に達していますが、どのように全社での資格取得を推進してきたのでしょうか。

石原和幸氏(以下、敬称略) ITパスポートは、デジタルやITの基礎知識があることを証明する一つの指標になると考え、資格取得の“キャンペーン”を大々的に行うなどして、機運を醸成してきました。

 試験を管轄する独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)と連携し、特別に試験会場を用意した他、広島県などの自治体の補助制度も活用し、受験の諸費用は全て会社が負担。誰がいつ受験するかという管理も細かく行いました。

 全社員をDX基礎人財と位置付け、役員も含めて受験する取り組みとしました。なぜ金融機関の社員がITの試験を受けなければならないのかと戸惑う人もいましたが、経営層自らが取り組むことにより、全社的な理解を得ることができました。