20世紀の物理学の基礎をつくり上げたアルバート・アインシュタイン(1879~1955年)写真提供:Album/Oronoz/共同通信イメージズ
グローバル化とデジタル化が進む中、変化の激しい時代に対応するため、歴史や哲学を含むリベラルアーツ(教養)の重要性が再認識されている。本連載では、『世界のエリートが学んでいる教養書 必読100冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)の著書があるマーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書作家の永井孝尚氏が、西洋哲学からエンジニアリングまで幅広い分野の教養について、日々のビジネスと関連付けて解説する。
絶対と思われたニュートン力学が、光の速度の矛盾によって揺らいだ19世紀。常識をひっくり返し、時間と空間の概念を一変させたのがアインシュタインの相対性理論だった。大胆な発想転換から、ビジネスに生かせる学びとは?
19世紀、限界に突き当たったニュートン力学
科学で説明できない現象が起こると、こう言って一刀両断する科学者をよくメディアで見かける。
「そんな現象は非科学的で、インチキだ。科学理論ではこうなっている」
実はこれこそが非科学的な態度である。科学は仮説に過ぎない。もちろん中にはインチキ現象も多いかもしれないが、もし本当に科学理論で説明できない現象が起こったら、見直すべきはその現象ではなく科学理論である。
この科学の本質を学ぶ上で格好の材料となるのが、今回取り上げるアインシュタインが提唱した相対性理論だ。
高校の物理学で「ニュートン力学」を習った人も多いだろう。「ニュートン力学」はニュートンが17世紀に完成させた。しかし19世紀、ニュートン力学で説明できない現象が現れた。光の速度である。
時速100kmで走る車に、ピッチャーが正面から時速150kmの剛球を投げると、時速250㎞でぶつかる。もし車の後ろから車に剛球を投げると、時速50㎞でぶつかる。これがニュートン力学の「速度合成の法則」だ。
出典:『世界のエリートが学んでいる教養書 必読100冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)拡大画像表示






