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社会イノベーション事業を基軸に、サステナビリティ経営を推進する日立製作所。関連規制が刻々と変化する中、社会、環境、そして事業の持続的成長にどのように挑んでいるのか。ESG/サステナビリティの第一人者である夫馬賢治氏が、同社サステナビリティ推進本部主管の増田典生氏を迎え、情報開示から社内の意識醸成、持続的成長をもたらす事業創出まで、サステナビリティトランスフォーメーション(SX)のポイントを聞いた。
変化する開示基準と企業が直面する課題
夫馬賢治氏(以下、敬称略) 日立製作所(以下、日立)主導の下、2020年にESG情報開示研究会が設立されて以降、サステナビリティを巡る状況は刻々と変化しています。この1年を見ても、国内では有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示が義務化され、世界的には国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が新たな開示基準を採択するなど、自主的な開示から法定開示への移行が加速しています。
増田さんはESG情報開示研究会の共同代表理事でもありますが、サステナビリティに関して、日本企業が今、直面している課題は何でしょうか。
増田典生氏(以下、敬称略) 最大の課題は「開示基準間の相互運用性」です。さまざまな基準がある中、基準ごとに要求事項や集計方法が異なると、開示する企業にとっては大きな負担になります。また「業種別開示基準への対応」も悩ましい問題です。
当社のように事業が多岐にわたるコングロマリットの場合、どの基準を適用するのがいいのか。その他、社内システムが部分最適化されている中で、どのように横断的にデータを取得するのか、社会・環境への取り組みによる財務的利益をどう可視化するか、といった課題があります。








