提供:小糸製作所

 自動車用ヘッドランプで世界シェアトップの小糸製作所。世界初のLEDヘッドランプ実用化、日本初のADB(Adaptive Driving Beam:ハイビーム可変ヘッドランプ)量産化など、ヘッドランプの技術改革に取り組んできた。自動運転時代の到来が近づく今、小糸製作所が力を注ぐ技術とは。自動車ライターの大谷達也氏が同社の次世代技術開発への取り組みをリポートする。

自動車用照明器だけで約9000億円売る企業

 小糸製作所は小糸源六郎が1915年4月に設立した小糸源六郎商店に端を発する。

 当初は、国内初となる鉄道信号灯用フレネルレンズなど鉄道用の照明関連装置を生産していたが、1932年に側車付き二輪車(いわゆるサイドカー)に向けた前照灯を当時の日本軍に納めたことから自動車産業界への進出を果たす。1936年には豊田自動紡織機製作所自動車部(後のトヨタ自動車)が初めて開発したAA型乗用車の前照灯も手掛けるなどして四輪車用ヘッドランプ事業の足掛かりを作った。

トヨダ AA型乗用車(出所:トヨタ)

 戦後は四輪車用ヘッドランプの開発や生産に注力。1950年には当時最先端だったセミシールドビームヘッドランプを開発した他、1957年にはオールグラスSBヘッドランプの実用化に成功し、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカーへの供給を開始した。