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 ビジネス環境の複雑化やコンプライアンス意識の高まり、グローバル化の進展などにより、経営における法務の重要性が高まっている。一方、法務部門の経営人材の育成に頭を悩ませている企業は少なくない。育成のポイントは何か。法務機能はどのように経営に関与していけるのか。

 ユニリーバ・ジャパンでジェネラル・カウンセルや代表取締役を歴任した北島敬之氏が、パナソニックホールディングス取締役執行役員 グループ・ゼネラル・カウンセルの少德(しょうとく)彩子氏をゲストに迎え、プロフェッショナルの視点から徹底的に議論する。

※本稿は、2024年9月に配信した「Japan Innovation Review TV ザ・ガーディアンズ第2期」の内容を採録したものです。

問題が起きたときに「知らなかった」とは言えない

北島敬之氏(以下、敬称略) 少德さんは2022年にパナソニックの取締役執行役員グループ・ゼネラル・カウンセル(GC)に就任し、経営に本格的に関与するようになりました。

少德彩子氏(以下、敬称略) ホールディングス傘下の事業会社の法務部門を歴任して今のポジションに就いたわけですが、グループ全体が見える立場になると、責任の重さがまったく異なりますね。

北島 グループ全体の法務責任者とはいっても、全てをミクロに見ていくのは不可能でしょうし、かといって何か問題が起きたときに「知らなかった」とは言えない立場です。どのように対応しているのでしょうか。

少德 当社では、国内の事業会社と海外の各拠点にそれぞれCLO(最高法務責任者)を置き、各CLOがグループGCに直接報告する仕組み(ダイレクトレポート)を設けています。各CLOが担当領域の隅々にまで目を配り、何かあったときに漏れなくGCに報告する仕組みが整っているので、本社でグループ全体を把握することは十分に可能です。

 そのためにも、GCとCLOが信頼関係を築き、バリューや目指す方向性といった「判断軸」をしっかり共有して、密にコミュニケーションを取るようにしています。