出所:共同通信イメージズ
電子決済「PayPay」の立ち上げ、Yahoo!ショッピングの再生など、数々の巨大ビジネスを成功に導いた仕掛け人、元ヤフーCEOの小澤隆生氏をご存じだろうか。「小澤氏の事業論の原点は、プロ野球球団・楽天イーグルスの創業経験にあります」と語るのは、2025年2月に著書『小澤隆生 凡人の事業論 天才じゃない僕らが成功するためにやるべき驚くほどシンプルなこと』を出版した、ビジネスノンフィクション作家・編集者の蛯谷敏氏だ。小澤流の事業立ち上げメソッドはどのような考え方に基づき、いかにして成功を導いてきたのか、蛯谷氏に話を聞いた。
練習して経験を積めば誰もが事業家になれる
――著書『小澤隆生 凡人の事業論』では、多彩な経歴を持つ小澤氏の「事業立ち上げ論」について解説しています。どのような理由から、小澤氏の事業メソッドをテーマに選んだのでしょうか。
蛯谷敏氏(以下敬称略) もともと私はビジネス雑誌の記者をしており、スタートアップ企業の取材を数多く手掛けていました。転職サイト「ビズリーチ」を立ち上げた南壮一郎氏(現ビジョナル代表取締役社長)を取材した際に、南氏のビジネスの先輩にあたる人として紹介されたのが小澤氏でした。
当時の小澤氏はエンジェル投資家に加え、起業家、経営者としてさまざまな事業を手掛けており、取材を重ねて話を聞いているうちに「小澤氏独自の事業メソッドをいつか本にしたい」という気持ちを抱くようになりました。そこで小澤氏がヤフーを退職したタイミングで出版を打診したところ、無事に了承を得ることができました。
小澤氏のメソッドの中で、私が最も面白いと感じたのが「意思決定」の考え方です。小澤氏は正しい意思決定を導く独自のフレームワークを持っており、それを覚えていれば誰でも事業を立ち上げることができる、と話しています。
つまり、事業づくりの「天才」ではなく「凡人」であっても、練習して経験を積めば事業家になれる、ということです。著書のタイトルにある「凡人の事業論」という言葉にも「普通の人でも正しい手順で意思決定をすれば、良い成果につながる」という意味を込めました。







