
サーキット走行にて明らかになるブラックバッジ・スペクターの個性
千葉県南房総市にあるMAGARIGAWA CLUBで行われたブラックバッジ・スペクターの試乗会では、その発進加速性能を確認するセクションが用意されていたが、ノーマル・モードでの到達スピードが171km/hだったのに対し、インフィニティ・モードではなんと182km/hをマーク。659psと1075Nmを生み出すブラックバッジ・スペクターの底力を示したのである。
今回の試乗会では、もうひとつ興味深い体験ができた。同じMAGARIGAWA CLUBのロードコース内にはスラローム・セクションが設定されていたのだが、ここでブラックバッジ・スペクターとブラックバッジ・ゴーストⅡの走りを比較すると、ブラックバッジ・スペクターのほうが明らかにロール、つまりコーナリングに伴うボディーの傾きが小さかったのである。
ロールを抑えるにはサスペンション・スプリングやダンパーを強化するのが一般的な手法だが、それでは乗り心地が犠牲になってしまう。しかし、ブラックバッジ・スペクターはブラックバッジ・ゴーストⅡよりも快適な乗り心地を実現していながら、ロールもより小さかったのである。これは、バッテリーをフロア下に積むスペクターのほうがゴーストⅡよりも重心高が低いためと考えるのが妥当。ロールが小さければハンドリングもより機敏になるので、EVのほうがハンドリングと乗り心地を高次元でバランスできることが今回の試乗会で明らかになったといえるだろう。

いずれにしても、これまで以上に大がかりなモディファイを施したブラックバッジが誕生したことは、引き続き同シリーズのセールスが好調であると同時に、今後はこれまで以上にブラックバッジ・シリーズに注力していくことを示したものと理解できる。
