文=加藤恭子 撮影=加藤熊三 写真提供=原酒造

純米酒ならではの豊かなうまみと酸をもつ濃醇ボディーでありながら、フレッシュな微発泡酒でキレがよく爽やか! 原料米は、2019年に本格デビューした新潟生まれの水稲「葉月みのり」。ほとんど米を削らず、飯米と同じ90%精米のもので仕込む。「越の誉 90YELLOW」(原酒造)720ml 1595円

新潟の新米「葉月みのり」をほぼ削らずに仕込む

 ぴちぴちと細やかな泡がかすかに弾けるフレッシュ感と、熟した晩秋のぶどうにも似た控えめな甘い香り、力強い濃醇ボディーが驚くほど調和する。田んぼの風景を思わせる穀物の香りと豊かな酸味は、ていねいに造られた純米酒ならではの心地よさ。

 毎年、初秋に絞りたてが出荷される「越の誉 90YELLOW(キューマルイエロー)」を造っているのは、新潟県柏崎市の原酒造。米をほとんど削らずに仕込む純米酒で、精米歩合は飯米とほぼ変わらない精米歩合90%。酒米ではなく、まだあまり聞きなれない「葉月みのり」という、新潟生まれの食用米を原料としているのもユニークなところだ。

 

ビーフシチューにぴったり!“濃醇×フレッシュ”な純米酒

冷え込む季節、ぜひコトコト煮込んだビーフシチューに合わせてほしい。フレッシュな「越の誉 90YELLOW」のフレッシュな酸味とうまみが、驚くほどぴったり!

「微発泡の爽やかなガス感がありますから、しっかりした脂分のある肉料理とも合わせやすいですよ。ちょっと意外かもしれませんが、秋冬においしいビーフシチューと合わせるのもおすすめですよ」

 そう教えてくれたのは、原酒造の一人娘として生まれ育ち、現在は麹造りを担当している8代目の原彩子さん。1994年生まれの30歳。大学でデザインを学び、東京で仕事をしたあと、2019年の夏、実家の蔵に入った。

麹造りを担当している8代目、原彩子さん。蔵元家として初めて蔵人として現場に入った