文=加藤恭子 撮影=加藤熊三 写真提供=原酒造
新潟の新米「葉月みのり」をほぼ削らずに仕込む
ぴちぴちと細やかな泡がかすかに弾けるフレッシュ感と、熟した晩秋のぶどうにも似た控えめな甘い香り、力強い濃醇ボディーが驚くほど調和する。田んぼの風景を思わせる穀物の香りと豊かな酸味は、ていねいに造られた純米酒ならではの心地よさ。
毎年、初秋に絞りたてが出荷される「越の誉 90YELLOW(キューマルイエロー)」を造っているのは、新潟県柏崎市の原酒造。米をほとんど削らずに仕込む純米酒で、精米歩合は飯米とほぼ変わらない精米歩合90%。酒米ではなく、まだあまり聞きなれない「葉月みのり」という、新潟生まれの食用米を原料としているのもユニークなところだ。
ビーフシチューにぴったり!“濃醇×フレッシュ”な純米酒
「微発泡の爽やかなガス感がありますから、しっかりした脂分のある肉料理とも合わせやすいですよ。ちょっと意外かもしれませんが、秋冬においしいビーフシチューと合わせるのもおすすめですよ」
そう教えてくれたのは、原酒造の一人娘として生まれ育ち、現在は麹造りを担当している8代目の原彩子さん。1994年生まれの30歳。大学でデザインを学び、東京で仕事をしたあと、2019年の夏、実家の蔵に入った。