文=加藤恭子 撮影=加藤熊三 写真提供=龍神酒造
新星の甘口ロゼワイン!?
透明感あふれるほんのりとしたルビー色に、思わず見惚れる。グラスを傾ければ、穏やかなベリー系の香りとともに、もぎたてのイチゴのようなみずみずしい甘酸っぱさが、やわらかな余韻を残し、すっと軽やかにすべり落ちる。新星の甘口ロゼワイン!? いえいえ、これはいまやニューヨークでブレーク中の「ロゼノユキドケ(海外の商品名はOze×Rose/オゼロゼ)」。「尾瀬の雪どけ」シリーズのなかでも、ひときわ完璧でキュートな存在感を放つ正真正銘、日本酒界のアイドルの巨星だ。
純米大吟醸に向く全国屈指の“超軟水”
「尾瀬の雪どけ」を代表銘柄とする龍神酒造は、1597年(慶長2)、利根川と渡良瀬川に挟まれた水源豊かな群馬県館林市に創業した。つまり、戦国時代から酒造業を続けてきた歴史ある酒蔵。敷地内に掘られた龍神の井戸より汲みあげられる、全国きっての“極軟水”を仕込み水としている。
みずみずしさと米のうまみ、そしてふわっと舞いあがるような軽やかさ。一度飲んだら忘れられない尾瀬の雪どけシリーズの特徴は、この極軟水がきわめて重要な要素なのだと、杜氏の堀越秀樹さんは話す。
「群馬県は山あり谷ありの起伏に富んだ地形で、水質も個性豊かです。そんななかで、私たちの極軟水は、吟醸造りに有利。ゆっくりと低温発酵させることで、米のうまみがありつつ、余韻は軽やか。カルシウムやマグネシウムといったミネラル分がごく少ないため、やわらかいお酒になりやすいのです」
龍神酒造といえば、純米大吟醸。現在の製造比率は純米大吟醸以上が約75%を占め、残りの約25%が純米酒、と堀越さんは続ける。
「たくさんの人に純米大吟醸を味わっていただきたいので、価格は抑えてカジュアルな路線を重視しています」