デリケートで弱い “赤色酵母”

「ロゼノユキドケ」は、2017年の試験醸造から初リリース。2018年から本格的にデビューし、人気に火がつき増産を重ねてきた。

 ロゼワインのようなピンク色と、イチゴのような甘酸っぱさは、赤色酵母を使うことで生まれる。酵母は自然界のあらゆるものに生息している微生物であり、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する酒造りの立役者。とくに赤色酵母は、とても繊細で扱いが難しいと堀越さんは説明する。

赤色酵母を使ってもろみを仕込む。赤色酵母は非常に弱く、ほかの酵母に負けやすいため、扱いが難しい

「赤色酵母は非常にデリケートで、弱い酵母なんです。寒ければ風邪をひき、暑くてもダメ。極端な言い方をすると、自滅しちゃうほど弱い酵母です。万が一、ほかのもろみがちょっとでも混ざると、とくに強い9号酵母が入ってしまうと、赤色酵母が負けて透明な酒になってしまいます。目に見えない世界なので、怖さはつねにあります。タンクや道具の洗浄殺菌を完璧にするしかありません」

 

スイーツやスパイシーな料理にも合う

 イチゴの果実のような“甘酸っぱさ”を引き出すのも、至難のわざ。赤色酵母の調子によっては、発酵が進みすぎて辛口になってしまうこともあり、逆に酸が出ないまま甘口で終わってしまうこともある。リスクとも隣り合わせなのだという。

 そんなロゼノユキドケの甘酸っぱさと穏やかな香りは、食事と組み合わせると、なお楽しい。たとえばレアチーズケーキとのペアリングは、華やかさもひときわ。やわらかなレアチーズのクリーミーな風味が重なって、ロゼノユキドケの美しい余韻がよりいっそう広がる。

「意外とスパイシーな料理にも合います。たとえばスパイスカレーや本格中華も! ロゼワインに合うものはだいたい合うので、ぜひ試してみてください」

レアチーズケーキとの相性もよい。華やかな見た目でペアリングの楽しさが広がる