今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。
写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登
「あ、軽い!?」
プロボクシングWBAの規定で、体重が105ポンド(47.627kg)以下の男子全17階級中最軽量級の名称に冠されているのが、最小限を意味するミニマムという言葉。一般的に重量を表現する際にも使われ、特に1gの違いがパフォーマンスを左右するスポーツギアやアウトドアギアの世界では、高評価につながるアピールポイントとなり得る。当然、シューズにおいても同様だ。今回取り上げるテーマ“ミニマム級スニーカー”5足を手に取った瞬間に漏れ出た冒頭の言葉がまさにそれであり、同時に本稿の意義、そのすべてを表している。
当然だが、こういった趣旨の場合、スポーツブランドが開発した本気のパフォーマンスモデルにばかり偏りがち。しかし我々が求めるのは、日常生活における QOL(生活の質)の向上に他ならない。そこで足取りを軽やかにサポートするだけでなく、着こなしに洒脱さをもたらすライフスタイルモデルもその列に加えた。見た目通りの期待に応えるアレから、良い意味で予想を裏切るコレまで。
実際に足を通してみると、あまりの軽さに不安を覚えるかもしれない。だがそれは杞憂というもの。最後にこの言葉を聞けば、たとえそれが保守的で知られるイギリス人であっても、思わず満面の笑顔と万雷の拍手を向けたくなる。そう確信している。
「安心してください、履いてますよ!」
1. MIZUNO「THE MIZUNO ENERZY ULTRA LIGHT」
ウルトラライトな履き心地が話題になり、デビュー2週間で完売
基本的な生活行動にして、健康面と精神面の両方にポジティブな効果をもたらす“歩く”という行為。とかく運動不足に陥りがちな現代人にとって、気軽にトライできる運動はありがたくもあるが、ウォーキング用を謳うモデルは数多あり、実は難しいのがシューズ選び。そこで信頼に足るのが確固たる実績。デビューわずか2週間で完売した、この「ザ ミズノ エナジー ウルトラライト」であれば間違いない。
ランニングシューズの設計を基に、ミズノ エナジー コアを搭載したソールは、クッション性と反発性を兼ね備える。さらにアッパーは通気性に優れたニット素材で足を包み込むフィット感も上々。両足揃えた状態でもコンパクトに収納可能で、片足約180gと持ち運びの際にも優位性を示す。
「旅行先や出張先でちょっとウォーキングをしたい」なんて時に最適ではないだろうか。