文=酒井政人

相模原ギオンスタジアム 写真=PIXTA

1組は鉄紺のルーキー松井がトップ

 第58回全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会が6月23日に相模原ギオンスタジアムで行われた。前回大会で8位以内に入った駒大、青学大、國學院大、中大、城西大、創価大、大東大、東京国際大はシード権があり、今回の選考会では期限内10000m公認記録(8人の合計タイム)の上位20校が「7枚」の伊勢路キップを争った。

 選考方法が各校2名ずつが10000mレース(全4組)に出走。その合計タイムで順位が決まる。蒸し暑さが残る1組はスローペースになることが多いが、今回は〝鉄紺〟が攻め込んだ。

「遅かったら、自分たちでペースを作る予定でした」と岸本遼太郎(東洋大3)が先頭に立つと、2000mを5分52秒で通過。その後は松井海斗(東洋大1)が引っ張るかたちになり、5000mの通過は14分46秒と例年以上のハイペースになった。

 後半は他の選手に先頭を譲った松井だが、残り2周でスパート。関東インカレの1部5000mで5位に食い込んだ強力ルーキーが29分25秒69でトップを飾った。

「残り2000mで出ると決めていたんですけど、うまく切り替えられなかった。それでもチームのために勝ち切ることができて良かったです」と松井は笑顔で汗を拭った。しかし、東洋大は箱根駅伝10区区間賞の岸本が「タイムと動きにズレがあった」と後半失速。24着(30分02秒86)と振るわず、「1組目の選手としてはやってはいけないことをしてしまった」とうなだれた。

 また10000m平均タイムで3位につけていた順大は関東インカレの1部3000m障害を制した村尾雄己(3年)が最下位の40着(32分36秒82)に沈み、早くも通過が苦しくなった。

 

2組は三大駅伝未出場の網本が1着

 2組は例年のようなスローペースになり、5000mを15分19秒で通過した。レースは教育実習帰りの石塚陽士(早大4)を軸に進んでいたが、残り5周で桧垣蒼(東海大1)、残り2周で宮崎優(東洋大1)が前に出る。しかし、ルーキーたちの揺さぶりに上級生は動じなかった。

 1年生をぶち抜いた網本佳悟(3年)がラスト勝負を制して、29分50秒85でフィニッシュ。2着は竹割真(東海大3)で29分53秒19、3着は石塚で29分53秒21だった。

 網本は三大駅伝を一度も経験していないが、今季は1500mに出場するなど、課題にしていたスピードを強化してきたという。その成果をラストのキック力で見せつけた。

「1組の松井に刺激をもらいましたし、岸本の分も少しはカバーできたのかな。石塚さんなど強い選手が相手でも、弱気になることなく、絶対に勝つんだという気持ちで最後まで走れたのは今後につながると思います」(網本)

 東洋大の選手たちは、「ひるまず前に出て、本戦を見据えた走りをしよう」という酒井俊幸監督の言葉通りのレースを体現していた。