高品質な「カリスマティック・シンプリシティー」デザイン

 やや前置きが長くなったけれど、今回、私がスペイン・バルセロナ周辺で試乗したのはミニ3ドアEVの高性能版にあたるクーパーSEである。つまり、これまでどおりミュンヘンで開発し、中国で生産され、そして世界中で販売される「最注目の最新ミニ」を味わってきたので、その印象をリポートしよう。

 先にそのスペックを紹介すると、最高出力218ps、最大トルク330Nmのパワフルなモーターをフロントに搭載して前輪を駆動。バッテリー容量は54.2kWhで、一充電あたりの航続距離は446kmと発表されている。価格は531万円。

 外観はご覧のとおり、ミニらしさを生かしつつ、現代風な解釈が施されている。では、なぜ現代的に見えるかといえば、ボディパネルの面精度を高めたうえで、パネル間のすき間を徹底的に狭く、そして正確に管理することでクォリティ感を演出。そのうえで、バランスのいいプロポーションとし、無用なデザイン上の装飾を徹底的に廃した点にある。

MINI Cooper SE
比べて確かめないとなかなか気づかないことだが、例えば従来ボディサイドでAピラー基部と前輪の間にあった装飾要素はなくなっている。またガソリンエンジンモデルとは、この部分のパネルの分割線が異なる
MINI Cooper S

 ミニは、このデザインのことを「カリスマティック・シンプリシティー」と呼んでいるが、シンプルでありながら魅力的なデザインに仕上げたという意味では、最新のレンジローバーとよく似たコンセプトの佳作といえる。

 インテリア・デザインも同様に優れている。ダッシュボードに貼られた布地は、そのチェック柄や色味だけでなく、ザックリとした感触までもがモダンなミニにはピッタリ。

 ステアリングのスポーク替わりとして、またダッシュボード上のアクセントとして添えられた布製リボンのセンスも見事。いずれにせよ、「中国製品のクォリティは低い」というステレオタイプなものの見方が払拭されるに違いないクォリティ感だ。

ステアリングホイールのストラップ