©Photo Andy Morgan
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サーキットでの実力

 案の定というべきか、サーキットでは安心感溢れる走りで私を魅了してくれた。

 とにかく、タイヤが限界に近づいていることをスキール音(タイヤが滑りかけたときに聞こえる「キーッ」という音のこと)でいち早く教えてくれるほか、そこからもシートやステアリングからタイヤがどれくらい撓んでいるかが克明に伝わってくるのだ。おかげで、タイヤのグリップ力を最大限に生かしながらサーキットを攻めるのはさほど難しくなかった。

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 さらにいえば、新型ヴァンテージには、トラクションコントロール(過剰な駆動力がかかって駆動輪が滑りそうになったとき、コンピューターがエンジン出力を絞ってこれを抑える機能のこと)の利き方を8段階で調整できるアジャスタブル・トラクション・コントロールが装備されているので、ドリフト走行に自信がないドライバーは、最初はトラクション・コントロールの利きが強いTC1やTC2で練習しながら、慣れてきたところでTC3、TC4……と徐々に利きを弱くすれば、安全にドリフト走行のスキルが身につくはずだ。ちなみにTC8を選ぶとトラクション・コントロールが解除される設定となっているそうだ。

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 それにしても、基本的なアーキテクチャーを共用するDB12とヴァンテージで、前者は快適性とハンドリングのほどよいバランス感、後者はサーキットまで視野に入れたスポーツ性能重視と、大きく異なるキャラクターを作り分けた点は見事としかいいようがない。これこそ、アストンマーティンのエンジニアリング能力が、かつてないレベルに到達した証拠といえるものだ。

アストンマーティン ヴァンテージの試乗は大谷達也氏のYouTubeチャンネルThe Luxe Car TVでも公開中。サーキットでのヴァンテージの姿をご覧あれ!