北欧のエチオピア料理店でのインジュラ。マイルドにアレンジされていた

エチオピアの最強パンケーキ、インジュラ

西アフリカの話が中心になったが、東アフリカにも超ユニークな美食王国がある。エチオピアだ。主食の「インジュラ」は、雑穀・テフを乳酸醗酵させたパンケーキで、強い酸味とクセがある。

エチオピアのインジュラ。ぶつぶつ空いた穴は、発酵由来の気泡。食感は酸っぱい匂いのするお手拭き

これを「バルバレ」という、「かんずり」に似た発酵唐辛子調味料をきかせたソースで食べる。強烈さゆえに、現地でひとたびハマると、帰国後、食べられる店を探してさまよう「インジュラゾンビ」になってしまう。東京・四ツ木の「リトルエチオピアレストラン」では、日本人向けにちょっとマイルドなインジュラを出してくれる。

おもてなしの心、アフリカ流「茶の湯」もある

エチオピアには、なんと「茶の湯」もある。「コーヒーセレモニー」という洗練されたおもてなし文化だ。茶事は約4時間かけて行うが、コーヒーセレモニーもたっぷり2時間以上かける。客の目の前で生豆を炭火で煎り、粉にしてポットで煮出し、杯に注いで、ゆっくりいただく。小さな杯に注ぎ分ける優雅な所作が、煎茶点前にそっくりだ。

エチオピア、アディスアババのコーヒーセレモニー屋台。地面に青草を敷き詰め、香をたいて場を清め、おもてなし空間の結界をつくっているようだった

納豆、うまみ、食感、おもてなし。アフリカと日本の食の意外な共通点から、和食の多様性にも気づけるかもしれない。

カラバッシュ

東京・浜松町にある、各国アフリカ料理が楽しめる、大バコアフリカ大食堂

東京都港区浜松町2丁目10-1
https://www.calabash.co.jp/

リトルエチオピアレストラン

東京・四ツ木。メニューにはカレーなどもあり、エチオピアと地元との融和が面白い

東京都葛飾区東四つ木3丁目23−6
https://little-ethiopia.net/