高級サルーンさながら
道ゆくクルマは、プジョーやフィアットをはじめとする欧州車のほかに、トヨタやホンダ、日産といった国産車、さらにヒョンデなどの韓国車も目に付く。
その多くがコンパクトなハッチバックやSUVなどで、ラグジュアリーなマリーナの景色とは一線を画す、いい意味で彼の地で暮らす人々の生活臭が溢れるクルマが行き交う。
そんな中、稀代の彫刻家が天然石から削り出したかのような、ロングノーズとコンパクトなキャビンが生み出す彫刻のごときフォルムに、街ゆく人々が羨望の視線を向ける。
こうした街路でストップ&ゴーを繰り返すような状況では、プロサングエは珠玉のV12エンジンの存在を忘れてしまうほど静かで、高級サルーンのごとく上質で滑らかな乗り味を提供してくれる。
舞台が高速道路に移っても、流れに合わせて巡航している限りは、その極上の乗り味は変わらない。
高速道路を下りしばらく走ると、緩やかな緑の稜線を遠方に望む、ニュージーランドならではの雄大な景色が広がった。フロントスクリーン越しに壮観な光景を楽しみながら、右へ左へと続くさまざまな曲率のコーナーを駆け抜けていく。
そんなシーンでは、プロサングエは全長5メートルに迫るフル4シーターのボディが嘘であるかのように、俊敏にコーナーをパスしていく。同じV12ユニットを持つ「フェラーリ812GTS」を彷彿させる俊足ぶりは、まさにスーパースポーツカーそのものである。