京都らしい穏やかな味わいと四川料理のインパクトが絶妙に折り合う

 実は以前にも「華祥」を取材させてもらったことがある。そのときに強い印象を受けたのが、とても丁寧に調理することと盛り付けが美しいこと。撮影用の料理を作る際に、田口さんは工程も細かく説明してくれるが、その一連の動きにはまったく澱みがない。そこに確かな技術を感じさせるのだ。今回は、中華放包丁で薄切りのきゅうりを仕上げるみごとな包丁さばきも披露してくれた。

まるでスライサーのような繊細な薄さで『雲白肉』の肉を切っていく

 京都には「京都中華」と呼ばれる流れがある。にんにくのような香辛料を使わず、油を控え、出汁の旨みが効いたあっさり味の中華だ。そこには優しい甘酢の料理や薄焼きの卵で巻いた春巻きなど独特の世界が広がっている。『華祥』はそうした「京都中華」には属さないが、“京都人好み“とでもいうのだろうか、極力油を控えたきれいな薄味で、東京にあるようなガツンとくる中華とはやはり一線を画している。 

シャキッとしたきゅうりの食感も料理を引き立てるポイントだ

 味も調理技術もレベルが高く、街中華という範疇には収まりきらないが、庶民的な価格と雰囲気がトレードマークの『華祥』。京都に行くたび、隙あらばタクシーを飛ばして水餃子や春巻きで昼ビール、〆はもちろん「卵白あんかけ炒飯」で……と妄想はとまらないのである。

住所:京都府京都市左京区田中里ノ内町41-1
TEL:075-723-5185
営業時間:11:00~14:00(L.O.13:50)、17:30~21:30(L.O.21:00)
休:水曜、木曜
最寄りは叡山電車の「元田中」だが、地下鉄烏丸線「出町柳」からも歩ける