取材・文=岡本ジュン 撮影=村川荘兵衛
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京都では中華にもまた深い世界がある
さあ、今日はどうしましょう?
取材にうかがうと、田口貴典さんは「待ってました」とばかりに気持の良い笑顔を見せた。カウンターに立つ田口さんの背景の厨房はピッカピカに磨き上げられ、「この店は間違いなくおいしいぞ」というオーラを発している。
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料理について話し始める『華祥』を受け継いだ田口さん
『華祥』があるのは、京都大学も近い京都市左京区元田中。中心からは少し外れるが、学生街であり、最近はなぜか中国辺境料理などのガチ中華が多いエリアとしても注目されている。
そんな中にあって創業20年を超える『華祥』は、四川料理をベースにした本格的な料理を、街中華の気軽さで味わえる店として地元にファンが多い。
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モダンですっきりしているけれど、どこか温かい雰囲気が漂う
「華祥」の創業は2002年、店を開いたのは田口貴典さんの父・茂雄さんだ。茂雄さんは日本に四川料理を広めた「四川飯店」の初代・陳健民氏の弟子としても知られ、京都府の現代の名工にも選ばれた料理人のひとり。田口さんは父の後を追って料理を志し、ホテルなどで経験を積んで、父が還暦を迎えるのを機に「華祥」に戻ってきた。その後、10年以上に渡って父と一緒に厨房に立っていたが、茂雄さんの急逝により、母と二人三脚で店を担うこととなった。
「先代が残してくれたものをしっかり守りながら、新しい料理も少しずつ取り入れていければ。どこででも食べられる料理ではなく、自分にしかできない料理を作りたい」という。