ミラノの街並みを全身黒のコーデで歩く姿は、まるで絵画のよう

写真=REX/アフロ

 2013年1月16日、マッツはイタリアのミラノに降り立った。この日の目的は、高級メンズファッションブランドとして知られるエルメネジルド・ゼニアのショー。

「先ほどはグレーの清涼感あるスタイルでしたが、こちらは全身真っ黒。この振り幅がカメレオン俳優らしい。そして、事もなげに自分のものにしてしまう。全身ブラックですが、重すぎないのはそのシルエットにあり。コートのたっぷりとしたシルエット、パンツのワイドテーパードがエフォートレス。足元はスニーカーで抜け感も。全身黒って簡単そうですが、おしゃれに見せるのは実は難しいんです。シルエット、素材などきちんと選ばないとダメなんですが、このコーディネートは完璧! 完成度が高すぎます。神々しさすらあって、まるで一枚の神秘的な絵画のよう。まさに、絵になるなぁ」。


“北欧の至宝”とも言われるマッツ・ミケルセンだが、初めから俳優志望だったわけではない。元々体操をやっていて、18歳の時にミュージカルに出演したことを端緒にダンサーとして活動するようになる。次第に演技にも興味を持ち、30歳でデンマークの国立演劇学校へ入学。役者として開眼したマッツは、デンマークの映画やテレビドラマに次々と出演し、2004年の『キング・アーサー』でハリウッドに進出。

 そして、2006年の『007 カジノ・ロワイヤル』で演じた悪役ル・シッフルで強烈なインパクトを残し、全世界から注目を集めることになる。2010年にはデンマーク女王からナイトの称号を授与され、2012年の『偽りなき者』ではカンヌ映画祭で男優賞を受賞し、名実共に国際派俳優になった。“北欧の至宝”と称されることについて聞かれた時は「僕にとっては妻と二人の子供たちも至宝だよ」と答えるような、チャーミングな一面も。プライベートではジャージ姿も目撃されており、その理由は「ブルース・リーを尊敬しているから」だとか。知的でありながら時にキュートかつユニークで、世界中の人々を惹きつけてやまない。

 

四方章敬(しかたあきひろ)
1982年京都府生まれ。スタイリスト武内雅英氏に師事し、2010年に独立。ドレスファッションに精通し、「LEON」「MEN’S EX」「MEN’S CLUB」など、多くのメンズファッション誌からオファーを受ける敏腕スタイリスト。業界きってのスーツ好きとしても知られ、イタリア・ナポリまでビスポークに赴いた経験もある。最近はセレクトショップやブランドと共同でウェアのプロデュースを手掛けるなど、活躍の幅を広げている。