季節の魚介と伝統ある加賀野菜

 また冬に美味しいのが甘海老、ガス海老、寒鰤です。ガス海老というのは通称で、殻が茶色の海老のことで、トラ海老とも言われます。茶色い見た目イマイチですが、甘海老より甘いと、味の評価はとても高い海老です。鮮度が落ちるのが早いためほかの土地には出回らず、しかもあまり獲れないことから、入荷があった日だけ食べられるというレアな海老だそうです。

「亀寿司」のお刺身

 また、北陸を代表する魚として近年脚光を浴びている「のどぐろ」は、季節を問わず贅沢なほど美味しい魚です。

「亀寿司」のお寿司

 この日は香箱蟹のほか、岩モズク、北陸の名産のかぶら寿司、自家製あん肝に奈良漬をのせたもの、子持ち鮎、バイ貝、合鴨ロースなどの先付け、めじ鮪、平目、鰆(さわら)、バイ貝、甘海老、アオリ烏賊のお造り、のどぐろの焼き物、焼いた白子が入った茶碗蒸しなどをいただき、最後はご主人の丹念な下ごしらえと丁寧に整えられた鯛、鯵、あおり烏賊、ガス海老、穴子のお寿司でしめて、お腹も心も大満足。地元で獲れた山代の味覚をたっぷり味わい尽くし、「生きてて良かった!」と思いました。

 春は毛蟹がおすすめだそうです。香箱蟹とは違った味わいで、こちらも絶品。ほたる烏賊や、トリ貝、バイ貝などの貝類も、春の味覚です。

 そして山代にいらしたら、蟹や魚、貝だけでなく、ぜひ野菜も味わってください。東京ではめったに見ることのない特産の加賀野菜は、藩政時代から受け継がれてきたものです。

 一時期作る人が減ってしまいましたが、伝統野菜の味を守ろうと、金沢市が力を入れています。さつまいも、加賀れんこん、たけのこ、加賀太きゅうり、金時草、加賀つるまめ、ヘタ紫なす、源助だいこん、金沢せり、打木赤皮甘栗かぼちゃ、金沢一本太ねぎ、二塚からしな、赤ずいき、くわい、金沢春菊の15品目あり、山代でも味わうことができます。

 また、「かぶら寿し」もおすすめです。かぶらの間にぶりを挟み、米糀で熟成させた北陸の伝統的な味です。仕込みが冬だけなのでその時期にしかないのがちょっと残念です。

 このように四季折々の豊かな味を、たっぷり堪能できるのが加賀の大きな魅力なのです。