アマゾンCEO、コスト削減に向け事業見直し

 こうした中、アマゾンでは、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)指揮の下、コスト削減に向けた事業見直しを進めている。同氏は23年1月4日、計画見直しに伴う人員削減規模が1万8000人超になると明らかにした。

 アマゾンは、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)に伴う電子商取引(EC)とクラウドサービスの需要増で事業を急拡大してきた。従業員数を2年間で2倍に増やし、発送センターや仕分けセンター、宅配ステーションなどの物流ネットワークも2年でほぼ2倍に拡大した。

 だがその後巣ごもり需要が一服すると、成長は鈍化した。同社の22年1~3月期の売上高は前年同期比同7%増の1164億4400万ドル。1~3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は過去10年間で最も低い水準となった。純損益は38億4400万ドルの赤字で、15年1~3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。

 続く22年4~6月期も20億2800万ドルの赤字だった。22年7~9月期は純利益が28億7200万ドルとなり、3四半期ぶりに黒字化。22年10~12月期は純利益が2億7800万ドルで、引き続き黒字だったものの、22年の年間赤字額は27億2200万ドル(約3600億円)に上った。

拡大戦略で専用機100機

 米ブルームバーグによるとアマゾンは現在、リースと自社購入分合わせて専用機「Amazon Air」を約100機運用している。だが、最近はその余剰貨物輸送スペースを他社に貸し出すことを検討している。ハワイとアラスカからの復路便にパイナップルやサーモンを積載して輸送するサービスを計画しているという。事業成長が鈍化する中、貨物機の余剰スペースを利用し、収益性を高めたい考えだとブルームバーグは報じている。

 アマゾンが航空貨物事業のAmazon Airを始めたのは16年だった。21年8月には、米ケンタッキー州の航空貨物施設が完成し、業務を開始した。21年1月には、ボーイングの中型旅客機「767-300」計11機をカナダのウエストジェット航空と米デルタ航空から購入した。現在はATSGのほか、米アトラス・エア・ワールドワイド・ホールディングスなどがAmazon Airの運行事業者となっている。

 20年には、コロナ禍を背景に米格安航空会社(LCC)のサン・カントリー航空とも提携。「ボーイング737-800」を貨物機に改造してアマゾンの荷物を運んでいる。

 アマゾンは米ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空機リース部門であるGEキャピタル・アビエーション・サービシズ(GECAS)とも提携し、機材をリース調達している。