(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米マイクロソフト(MS)がこのほど発表した2022年10~12月期の決算は、売上高が前年同期比2%増の527億4700万ドル(約6兆8800億円)だった。伸び率は16年4~6月期以来、約6年ぶりの低水準。純利益は164億2500万ドル(約2兆1400億円)で、前年同期から12.5%減少した。世界経済の健全性を巡る懸念を背景にソフトウエアとクラウドサービスに対する需要が冷え込んでいる。

主力クラウドの伸び鈍化

 サティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は説明会で、「顧客企業はマクロ経済の不確実性を考慮して慎重になっている」と述べた。

 売上高を事業部門別に見ると、全体の4割強を占める主力「インテリジェント・クラウド」部門は同18%増の215億ドル。クラウド基盤「Azure(アジュール)」の売上高は同31%増だった。だが、エイミー・フッドCFO(最高財務責任者)は、「Azure事業の成長は年末に減速し、今後数カ月間さらに減速する」と説明した。

  また、「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の3割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門は、前年同期比7%増の170億ドルだった。

パンデミック特需一服で成長減速

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マイクロソフトは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下で急成長したクラウドサービス企業の1社。この期間に同部門の売上高は数四半期連続で前年実績を50%超上回った。同社は米アマゾン・ドット・コムに次ぐ世界第2位のクラウドコンピューティングプラットフォーム企業。同部門は依然としてマイクロソフトの主力成長エンジンであるものの、最近は顧客が支出を抑えており、成長が減速している。

 テクノロジー大手は、パンデミック時の需要増に対応するため雇用や投資を加速させてきた。だがそうした特需が一服すると、成長鈍化に見舞われ、各社は人員削減などの策を取るようになった。

 マイクロソフトの収益源は法人顧客が大半を占めるため、これまで景気減速の影響を免れてきた。しかし、今や同社もその影響を避けられない状況になってきた。加えて、金利上昇という逆風も吹く。

PC向け事業19%減、企業など買い控えに転じる

 パソコン基本ソフト(OS)の「ウィンドウズ」などを含む「モア・パーソナルコン・ピューティング」部門の22年10~12月期の売上高は、142億ドルで、前年同期から19%減少した。パソコンメーカー向けウィンドウズのライセンス収入は同39%減と、大幅に落ち込んだ。コロナ禍でパソコンを買い替えた企業や政府機関、消費者が買い控えに転じており、同部門の業績不振が続いている。パソコンメーカー向けウィンドウズのライセンス収入は22年7~9月も前年同期比15%減と、2桁減少していた。

 モア・パーソナルコン・ピューティング部門の売上高は全体の3割弱であり、その影響は他の部門に比べて小さい。ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によれば、マイクロソフトはウィンドウズに依存していた時代から大きく変化した。だが同OSは今も収益性の高いビジネスであり、パソコン市場の不振は同社の業績に大きな影響を及ぼす。

 そして、それはすでに現実だ。米調査会社のガートナーによると、22年10~12月期の世界パソコン出荷台数は、前年同期と比べて28.5%減少した。これはガートナーが統計を取り始めた1990年代半ば以降最大の減少幅。パソコン市場は、22年に急激な需要減を経験したが、しばらくこの状態が続きそうだ。ガートナーは24年になるまで市場が完全に回復することはないとみている。