近年、企業のビジネス環境は大きく変化しており、経営課題として認識すべき幾つかの重要なパラダイムシフトが起こっている(DXもその要因の一つに他ならない)。今回は、新時代に求められる経営パラダイムがいかなるもので、どのように企業経営に影響するのか、デジタルの観点も含めて考察しよう。

 VUCAといわれる現代、経済社会に対する意識は既に不確実性や変化を前提とした新時代の価値観に切り替わっている。ビジネスを取り巻く環境もコロナ禍を契機に大きく様変わりし、新常態への移行が各所で加速度的に進んでいる。

 中には、それまで局所的にしか重視されてこなかった思想や方法論が市民権を得て、せきを切ったように急速に世の中に浸透するものもある。特にこの2、3年は、企業経営に関わる重要なパラダイムシフトが起こっており、経営理念の見直しやコーポレートステートメントの刷新など、新たな規範へ追従しようとする動きが目覚ましい。

 今、企業には、対処療法的に手法やノウハウを取り込むだけでなく、新たな時代の価値基準を十分に理解し、今日の企業経営のパラダイムシフトに追随することが求められている。

 今回、近年の経営パラダイムの変遷について簡単な整理を試みた(下の図)。これまでのパラダイムがどのように変容してきているか、各々の観点について順を追って見てみよう。

〔出典〕筆者作成
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