在庫一掃に寄与か
だがCNBCによると、今回のセールを失敗とみていないアナリストもいる。たとえ7月のイベントの実績を下回ったとしても、アマゾンは、この2日間で通常の火曜日と水曜日よりも多くの売上高を達成していると、米調査会社マーケットプレース・パルスの創業者であるジュオザス・カジウケナス氏は指摘している。「アマゾンは今回のセールで在庫を減らすことができ、うまくやったと思う」と同氏は述べている。
アマゾンのほか、米ウォルマートや米ターゲットなどの小売大手はいずれも過剰在庫の削減に取り組んでいる最中だという。新型コロナウイルス禍で売れ筋だった商品はサプライチェーン(供給網)の混乱で納期が大幅に遅れた。商品がようやく小売業者に到着したころには消費が冷え込み、在庫が積み上がる状態になった。こうした中、小売大手はこれまで以上にセールを早期に実施し、在庫一掃に取り組んでいるという。
年末商戦のEC支出、今年の伸び率は最低水準
前述した通り、アマゾンは10月11~12日に、「Prime Early Access Sale(プライム・アーリー・アクセス・セール)」と呼ぶイベントを米国やカナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、中国など15カ国で開催した。同社は毎年夏場に会員向け年次セール、「Prime Day」を開催しているが、こうして大型セールを年2回開催するのは今年が初めてだった。
その理由についてCNBCは、「アマゾンは伸び悩む業績と不振が見込まれる年末商戦に直面している」と報じている。米アドビによると、22年の年末商戦時における電子商取引(EC)の消費者支出額は前年同期比で2.5%増加する見通し。これはアドビが15年に調査を開始して以来最も低い伸び率だという。