多くの日本企業が、自社の命運をかけてDXプロジェクトに取り組んでいる。しかしその中には、成功して大きく飛躍する企業もあるが、途中で挫折したり、残念な結果に終わってしまう例もあるのが実情だ。DXの成否を左右するポイントは、いったいどこにあるのだろうか。日本法人として130年以上の歴史を持ち、世界有数のテクノロジー企業であるシーメンス株式会社の鴫原琢氏が、DXプロジェクト成功のポイントを、日本と世界の事例を交えながら語った。

※本コンテンツは、2022年6月27日(月)に開催されたJBpress/JDIR主催「第13回 DXフォーラム~デジタルテクノロジーの活用による企業変革の実現~」の特別講演1「成否を分けるDXプロジェクト ~日本と世界の事例~」の内容を採録したものです。

外的環境の変化に合わせて、柔軟な対応が求められる時代がやってきた

 気候変動や技術革新、消費者の嗜好の変化など、ビジネスを取り巻く外的環境がめまぐるしく変わる昨今、製造業の企業活動も、環境変化への早急な対応を迫られている。短いライフサイクルで製品を生産したり、市場投入の時間を短縮したりするなど、状況に合わせて柔軟に対応すべきことは少なくない。しかもその変化のスピードは、今後もますます加速することが予想される。

 加えて、企業は持続可能な社会の実現のために、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」というESGの観点からの対応も求められている。メーカーは顧客から最も近い位置にいるため、ESGに対する市場への説明責任も非常に大きいと、テクノロジーを駆使したさまざまなサービスを展開しているシーメンス株式会社デジタルインダストリーズデジタルエンタープライズ&ビジネスディベロプメント部部長の鴫原琢氏は語る。

「投資会社のブラックロックは、投資先が魅力的であるにもかかわらず、サステナブルではないという理由で撤退せざるを得ませんでした。石油会社のShellに至っては、2030年までにCO2の排出量を45%削減するよう裁判所から命令されています。また、当社もオーストラリアで鉄道ビジネスを展開していましたが、環境に悪影響を及ぼす石炭を鉄道で運搬することに対して現地の環境系NGOから批判を受け、社長が記者会見にて状況を説明する結果になりました」