「時間が足りない・工数が足りない」というのは調整を避けているだけ
複数のプロジェクトを掛け持ちしていたり、クロスファンクショナルチームで活動していたりすると、担当者の「時間が足りない・工数が足りない」ということはごく普通に生じる。担当者層だけでなくミドルマネジメント層も「会議が多くて・・・」と、本来自分がやるべきだと思っていることに時間が使えず、腐心していることも珍しくない。
次々と仕事が降ってきて、日常が忙殺される。これは、単なる「あるある」ではなく、世の中の普遍的な真理だろう。その原理は、古今東西、仕事は「仕事ができる人で感じのいいひと」に集まってくるものだから、である。自分が何か大切な仕事を任せる時には、仕事ができる人でかつ嫌な顔をしない人にお願いするというのはごく自然な選択だろう。 仕事ができ(能力があり)、嫌な顔をしない、責任感ややる気が高い人には、いつの世でも仕事はどんどん集まってくる。いきおい「時間が足りない」という状況に陥りやすいという理屈だ。
断ったり先延ばしの調整をしたり、他人に仕事を振れればいいのだろうが、“良い人”なので、他人に気を使ったり、組織の心理的安全性が低いために、自分で仕事を抱えてしまって、アップアップの状態になる。「私、今、アップアップです」などと“忙し自慢(?)”をする人が一部いるが、そのよくわからない自慢が、周りの人をヒヤヒヤさせていることに本人は気づいていないのだろう。周りと自分が見えていない典型だと思う。
少し皮肉って表現すればまさに「昭和のノリ」。工数が足りないことをしかたがないこと、文句を言わずに受け入れることが良きこと、自分が頑張るしかないと思い込んでいる。この昭和のノリを今も続けていてはいけない。令和の今は、現実的にできるように調整しよう、知恵を出そうという姿勢をもつことがとても大切だと思う。調整から逃げることこそが悪しきことなのである。次回は、調整する姿勢の大切さについて考えてみる。
コンサルタント 塚松一也 (つかまつ かずや)
R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント
イノベーションの支援、ナレッジマネジメント、プロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとしてじっくりと変革を促すコンサルティングスタイル。
ていねいな説明、わかりやすい資料をこころがけている。
幅広い業界での支援実績多数。