プロジェクトにアサインされた人が、自分が担う仕事量に対して、時間が適切にあるなら問題はない。しかし実際には「やろうと思ってはいるが時間が足りなくてできない」という悲鳴に近い声を聞くことはよくあることだ。今回は、この「時間がない」「工数が足りない」問題について考えてみる。

仕事の大前提として健康・安全がある

 言うまでもなく、無理して長時間労働を続けて体調を崩したのでは、自分・同僚・上司・顧客・家族、世界の誰も幸せにならない。「医者が儲かるだろ」と茶化す人もいるかもしれないが、そんなものは面白くない冗談だと一蹴しておく。体調を壊してまでプロジェクトを遂行することは誰も望んでいない。

 仕事をするにあたって、大前提として「自分や仲間の健康(フィジカルとメンタルの両面)を健全に保つこと」と「安全(危険な目にあわないようにすること)」が第一であり、どんな時でもプロジェクトの成功よりも優先される。これが暗黙ではなく、明確な大原則であることを最初に確認しておこう。

 少し話が逸れるが、中には自衛隊や警察官・消防士など、局面によっては自分の健康や安全を第一にできない仕事もある。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」という服務の宣誓、時に命を賭して職務を遂行しようという姿勢にはただただ敬意しかない。もちろん、自衛隊や警察においても命を落とすことを前提にしたオペレーションは計画しないものだ。
 その自衛隊や警察であっても、命を落とす前提のオペレーションは計画しないのだから、我々だってデスマーチを強いられる謂れはないのである。