モダン・ラグジュアリー

 インテリアの出来映えも見事だった。近年、マクガヴァンは「モダン・ラグジュアリー」というコンセプトを前面に押し出している。新型レンジローバーのインテリア・デザインもまさにその言葉どおりで、水平線基調のシンプルな造形をベースに、上質で品のいい素材を鮮やかな発色のカラーで仕上げられており、いかにも心地いい時間を過ごせそうに思える。この上品でセンスのいい世界観は、誠に申し訳ないが、ドイツ車ではなかなかお目にかかれないものである。

V8か直6か? より正確になった伝統の運動能力

 試乗した印象も、デザインの上質さ、品のよさを見事に反映したものだった。たとえば新開発のV8ガソリン・エンジンを搭載したモデルは、従来型レンジローバーのオートバイオグラフィーを髣髴とするソフトで快適な乗り心地を味わえるのだが、じっくりと観察するとハンドリングは従来型より正確で、レスポンスも素早くなっていることに気づく。このため、全長5mのボディを持て余すことなくワインディングロードを駆け抜けられるようになった。V8エンジンのおごそかな回転フィール、それに静粛性の高さもレンジローバーのキャラクターにぴったり。つまり、レンジローバーの伝統を引き継ぎつつ、それを最新の技術でさらに洗練させたのが、新型のアウトラインといえるだろう。

 意外だったのは、直列6気筒ディーゼル・エンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせた仕様だった。ジャガー・ランドローバー・グループが独自に開発したインジニウム直列6気筒エンジンがスムーズかつ官能的なフィーリングを実現していることはかねてより承知していたが、このパワーユニットを積む新型レンジローバーは、シャシーの味付けもエンジンのキャラクターにあわせており、ソリッドな乗り心地とシャープなハンドリングを実現していたのだ。その、V8モデルとの見事な作り分けにはまさに目を見張らされた。もっとも「ソリッドとシャープ」といっても、あくまでもレンジローバーの世界観を壊さない範囲という意味なので、ご安心いただきたい。

 いまやSUV市場は百花繚乱だが、「元祖ラグジュアリーSUV」たるレンジローバーは、トレンドに惑わされることなく、孤高の道を歩み続けている。ちなみにマーケットからは早くもオーダーが殺到しているらしく、モデルによってはウェイティングリストがかなり長くなっているようだから、ご興味のある方は早めにディーラーを訪れることをお勧めしておく。

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