山の温泉は暮らす人も訪れる人も幸せに

源泉が満ちる半露天風呂が備わる客室「こまくさ」

 宿は山の斜面に建ち、平屋風の造りで客室全17室。8畳ワンルーム、和洋室、ファミリーに人気の20畳タイプほか、源泉掛け流しの半露天風呂が付いたメゾネットタイプの客室「こまくさ」など、旅の目的で選べるのが嬉しい。

メゾネットタイプの客室「こまくさ」は2ベッドタイプ

 ここ数年は、連泊して温泉療養する宿泊客が増えたそうだ。ひとり泊も歓迎している。好きな時に好きなだけ名湯に浸かる。大自然の息吹を思い切り感じて元気になる。冬は豪雪地となるが、県道が通り通年営業。雪見風呂の贅沢が味わえる。全館床暖房や薪ストーブなどで安らげる環境を整えている。

山の宿ならではの、美味しい旬の味覚を提供する

 食事処・桜ダイニングでの夕食は、「温泉の効果をより高めるための料理」をテーマにしている。宮城蔵王の高原野菜、郷土の味覚、三陸の海鮮などを丁寧に調理する。地元米やオリジナル味噌の味噌汁も好評だ。食後はラウンジでの水出し珈琲や、バーでの源泉割りなどの楽しみもある。

朝食も、ゆっくりと楽しみながら味わいたい

「地域に寄り添った山の宿でありたい」と竹内さん。害獣対策活動に積極的に参加するなど、近年ますます自然との共存に意欲を燃やす。厳しくも優しい大自然と向き合い、温泉が地域文化を育んできた。竹内さんは、「秘湯の宿を守ることは、地域の自然と暮らしを守ること。それは心豊かな子供達を育てることにつながると思う」と話す。

六代目主人の竹内宏之さんと女将の美咲さん

「家族で暮らす峩々温泉での時間を大事にしていきたい。お客様には山での時間をもっと楽しんでいただけるよう、山の宿の主人らしく“そば打ち”を地元の方から教わっているところなんです」と、ほほ笑む。