■〔シリーズ〕DX企画推進人材のための「ビジネス発想力養成講座」はこちら

 この連載はDX企画、推進人材が身に付けるべきビジネス発想力の養成を目的としている。DXやデジタルビジネスの成功事例には「ビジネスの仕掛け」がうまく使われており、この連載ではそれが学べる。今回は応用編として、「ビジネスの仕掛け」(シェアリング、プラットフォーム、オンライン化、クラウドファンディング〈購入型〉など)を単体で、または、組み合わせてビジネスを発想する考え方や事例を解説していく。

 今回のテーマは「IoTビジネス力」である。IoTと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。ある人は工場にある機器の内蔵センサーから取得した稼働データの活用を想起し、またある人は、車に内蔵されたセンサーで得た運行状況を使った自動運転をイメージするだろう・・・。しかし、この後が続かない。

 IoTが世の中に出てきた頃、「IoTはすごい発明。ビジネスを改革し得るもので、大きなイノベーションをもたらす」と騒がれたものだが、それから年月がたった今でも多くの消費者はIoTのことがよく分かっていない。

 例えば、あなたは、ネットでビジネス記事を読んでいるとする。記事には、「IoTセンサーのプラットフォームをA社が提供開始。現在使っている機器に外付けのセンサーを付けられるので、あらゆる工場をIoT化でき、製造業の高度化が期待できる」と書いてある。

 しかし、製造業に携わっていないあなたには、この記事の意味やすごさが分からない。専門家が言っているのだからすごいのだとは思うが、何がすごいのかと思いながら次の記事を読む・・・、これが多くの消費者から見たIoTの現実である。

 IoTとは、「Internet of Things」の略であり、一般に「モノのインターネット」と呼ばれる。機器に取り付けられたセンサーがデータを自動的、定期的に取得し、それらのデータが機器同士で相互にやりとりされ、これにより機器運行を自動制御できるなどのメリットがある。

 だが、IoTは単に工場の機器を、人手を減らして自動運行させるだけのものではない。IoTをうまくビジネスに組み込むことで、自社商品やサービスの価値を高め、お客のペイン(悩み、課題)を解消する価値を創出することも可能になる。この事例を見てみよう。

修理が遅く、ブルドーザーが売れなかった建機メーカーの社長は・・・

 ある建設機器(建機)メーカーがブルドーザーを製造販売していた。ブルドーザーは山の中など野外で稼働させるので、故障した場合は保守担当者が現場に行く必要があり、修理に時間がかかってしまう。その間、建設作業がストップするので、早く修理できる体制が必要である。

 この建機メーカーは全国に多くの修理拠点を持っておらず、修理に時間がかかることからブルドーザーの販売が伸びなかった。性能自体は他に負けていなかったが、修理が遅いので失注が続き、経営危機となったのだ。

 このままでは倒産すると思った社長は、社員にどうすれば売れるかを考えてもらうことにした。聞いた社員は2人。1人はブルドーザーの保守担当のAさんで、もう1人はブルドーザーの製造工程でテストを担当するBさんだった。