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文=松原孝臣

2021年12月26日、全日本選手権公式練習での羽生結弦 写真=7044/アフロ

成績面では「過去最高」の選手団

 2月4日、北京オリンピックが開幕する。一部競技は開会式に先駆けてスタートを切るが、「始まった」という感覚を最も抱かせるのは開会式だろう。

 日本からは、計124人の選手が参加する。1998年の長野オリンピックがこれまでの最高で156名だった。今回はそれに次ぐ人数で、大規模な編成となった。

 人数だけではなく、成績面でも大会前から過去最高になるのではないかとも言われている。メダル数が最も多かったのは前回の平昌オリンピックで、金メダル4個、銀メダル5個、銅メダル4個の計13個を獲得している。金メダルを獲ったフィギュアスケートの羽生結弦、スピードスケートの小平奈緒と高木菜那、菜那の妹であり団体パシュートの中心だった高木美帆が健在。彼ら金メダリストのみならず、平昌で活躍した少なくない選手が北京にも力を落とさず出場することが好成績を期待される要因だ。

 さらに過去の大会で悔しさをかみしめリベンジを期してきた選手たち、フィギュアスケートの鍵山優真を筆頭とする新たな世代の実力者もいる。より多くのメダル獲得への期待が高まるのは自然なことと言えるかもしれない。

 

羽生結弦、平野歩夢の挑戦

 メダルの行方とともに、今大会の臨む選手たちの姿に、ある言葉が浮かぶ。「挑戦」だ。

 羽生は4回転アクセル習得に力を尽くし、昨年末の全日本選手権でついにプログラムに組み入れて挑むところにたどり着いた。北京でも成功を期して、プログラムに入れる意志を明らかにしている。

2021年12月26日、全日本選手権男子FSでの羽生結弦 写真=西村尚己/アフロスポーツ 

 そこには大きなリスクがある。転倒しないまでも回転不足になれば点数は大きく下がるからだ。

 それでも羽生は、跳ぼうとする。いまだ誰も見たことのない世界へたどり着きたい、扉を開けたい、何よりも自身の理想に近づきたいという思いにほかならない。

 スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢は、大会への抱負をこう語る。

「4年間、挑戦してきたものをすべて出し切りたい」

Xゲームズアスペン大会、スノーボード男子スーパーパイプ、銀メダルを獲得した平野歩夢 写真=Daniel Honda/アフロ

 昨夏、スケートボードで東京オリンピックに出場したのは挑戦の最たるものだが、それを含め挑戦してきた4年間だったことを表している。昨年12月の大会では世界で初めて「トリプルコーク1440」に成功。より高みを目指す姿勢は、羽生とかわりない。