スイッチバックや地元の食材を生かした料理も
「雪月花」の1号車の前方には、乗客が誰でも利用できる展望ハイデッキも。側面の風景だけでなく、先頭からの風景も望めて、さらに迫力あるパノラマが楽しめます。私は二本木駅付近でこの展望ハイデッキに移動しました。というのも、二本木駅はスイッチバックのある駅! スイッチバックとは、急勾配をのぼりきれない場所で、一度後ろ向きに折り返してから再び勢いをつけてのぼる仕組み。このスイッチバックを先頭で体感できるというわけです。
しかも、二本木駅のスイッチバックの引き込み線では、豪雪地帯の新潟ならではの雪囲いを見ることができます。雪囲いとは、雪で線路が埋まらないようにするための建物のことで、二本木駅の雪囲いは明治末期の古いレールを柱に再利用している珍しい木製のもの。スイッチバックする時に、列車の中からこの貴重な雪囲いの内部を見られるのです。
二本木駅では、車掌さんが駅舎の歴史や地下道の秘密などを解説してくれる駅ツアーも楽しめます。二本木駅の施設には明治末期から昭和に造られたものもあって、それらの7施設が国の有形文化財に指定されています。レトロな駅舎ファンの私には、古い建造物に触れられる嬉しいポイントでした。
もうひとつ、「雪月花」で忘れてはいけないのがお食事です。私がいただいたのはフレンチのフルコース。見た目も華やかな三段重のお弁当なのですが、これがとてもおいしかったのです。十日町市出身のミシュラン二つ星シェフ・飯塚隆太さんが考案したメニューということで、新潟の旬の食材が生かされた至福の味わい。そこの温かいスープや、デザートセットまでつくという贅沢なランチでした。
車窓の絶景に目を奪われ、おいしいお料理に心を奪われ・・・、至れり尽くせりの「雪月花」。機会をつくって、ぜひもう一度乗ってみたいですね。