さて、ドア付近だけでも大興奮ですが、客室へ進むと、そこはまさに夢の国。メープル材が使われた1号車は、やわらかで明るい色合い。2人席と4人席が配置されています。
シートや絨毯、壁やカーテンなどはクラシカルな柄模様があしらわれ、漆喰塗りの格天井の中央には可愛いらしい四つ葉のクローバーも。優しく灯された照明がロマンチックで、気分はすっかりお姫様です。
一方、2号車は和モダンなコンパートメント。シックで落ち着いた雰囲気の2人席の個室が、ウォールナット材の大川組子で仕切られています。
大川組子とは福岡の伝統工芸で、釘をまったく使わず、細い木材で幾何学模様の図柄を組んでいく技法。驚くほど細やかで精巧な職人さんの技に、目を奪われます。
しかも、この1号車と2号車の間にも素敵な空間が! 窓に大川組子やステンドグラスがはめられていて、そこから差し込んだ光によって、向かい側の湾曲した壁にスクリーンのように模様が映りこむのです。
光と影が織りなす幻想的な光景。角度や光によって映しだされる表情が変わるのも楽しくて、いつまでも見ていられる美しさです。
これはあのクルーズトレイン「ななつ星in九州」でも使われた手法なのだそう。「ななつ星in九州」には乗れなくても、同じような豪華体験ができるのは嬉しいですよね。
コース料理が進化! スイーツ中心からお食事中心へ
列車そのものもゴージャスですが、お食事も贅沢に楽しめるのが「或る列車」です。私が乗った当時はスイーツ中心のコースで、南青山のレストラン「NARISAWA」の成澤由浩さんがプロデュースされた極上の味を堪能しました。
どれも宝石のように美しく、とろけるような至福の味わい。目にも楽しいし、味もおいしいという、とにかくすごいコースだったのです。
この「或る列車」のお食事が、2021年11月13日より今までのスイーツ中心のコースからお食事中心のコースへと変更されたそうです。お料理のプロデュースはそのまま「NARISAWA」のオーナーシェフ・成澤由浩さん。前菜、スープ、メインと本格的なコースを堪能できます。メイン料理のあとに、メインスイーツやひと口サイズのお茶菓子が健在なのも嬉しいですね。お食事中心のコースになったことで、甘いものがお好きな方はもちろん、しっかりとお食事したい方など、より幅広い層の方が楽しめると思いますよ。
新しく生まれ変わったコース料理は、私もまだ未体験。「或る列車」には何度でも乗りたくなるので、ぜひまた乗車して贅沢なひと時と極上のお料理を味わってみたいです。