文・写真=村井美樹 編集協力=西垣一葉(春燈社)

JR小海線の「HIGH RAIL 1375」

美しい星空を堪能できる「HIGH RAIL 1375」

 日に日に寒さが深まるこの季節、今回は冬だからこそ乗りたい特別な列車についてご紹介したいと思います。

 ひとつめは、JR小海線の「HIGH RAIL 1375」。小海線は、山梨県の小淵沢駅から長野県の小諸駅までを結んでいますが、JR線で一番標高の高い地点を走る路線として知られています。2017年にデビューした「HIGH RAIL 1375」の名前も、野辺山駅から清里駅にかかる標高1375mの最高地点にちなんで命名されたものです。

JR小海線の「HIGH RAIL 1375」

 なかでも、冬におすすめしたいのは、夜に運行する「HIGH RAIL 星空」号。この列車では、JR線で最も標高の高い野辺山駅で下車して、星空案内人の方と一緒に星空を50分間くらい観察することができるからです。

座席も車窓が楽しめる仕様に。お供のこけしはサンタさん!こちらの席は動かせるので、1人席にも2人席にもなります

 私が乗車したのは、2017年12月23日のクリスマスイブイブ。夜の野辺山駅はとにかく寒かったのですが、冬なのですごくきれいに空が澄んでいました。キンと冷えた寒空の下、降ってくるような美しい星空をみんなでじっと眺めて、星空案内人の方の解説に耳を傾けます。こんなふうに星空を眺めるのは何年ぶりだろう・・・。

 寒い冬だからこそできる貴重な体験。都会に暮らしていると、星空を見上げることもあまりなく、今は子育て中でなおさら余裕がないので、改めてあの体験は贅沢だったなと感じています。

 私は鉄道仲間とグループで星空の時間を共有しましたが、小学生くらいのお子さんと一緒にファミリーで星の観察をしても、カップルや夫婦で仲良く楽しむのもいいですし、もちろん1人旅で静かに宇宙に想いを馳せるのも素敵だと思いますよ。

 

クリスマスシーズンにぴったり

「HIGH RAIL 1375」の特製弁当

 ところで、私が「HIGH RAIL 1375」に乗ったのは、たまたまクリスマスの直前だったのですが、この列車は雰囲気もデザインもクリスマスシーズンにぴったりなのです。車両のデザインは、濃紺の車体の上のほうにロマンチックな星空、下のほうに車窓から望む八ヶ岳のイラストが描かれています。そして車内に一歩入れば、星座をモチーフにしたシートや天の川のような天井の照明。まるで宇宙を旅するような雰囲気に浸ることができるのです。私は旅行商品で予約したので、星が散りばめられた可愛らしいお弁当もついてきました。

車内で見られるミニプラネタリウム

 さらにおもしろいことに、車内にはミニプラネタリウムも! 2号車に設置された「ギャラリーHIGH RAIL」は、星や宇宙の本を自由に読むことができるスペースですが、このギャラリーの天井部がミニプラネタリウムになるのです。車内のWi-Fiで星空や宇宙にちなんだコンテンツなども楽しめます。

星や宇宙の本が多く揃う「ギャラリーHIGH RAIL」

 また、クリスマスシーズンならではの演出として、社員さんがサンタさんとトナカイさんの格好をして登場。ちょっとしたお菓子やグッズをプレゼントしてくれるというサプライズにも、とても心が弾みました。飽きさせない工夫が盛りだくさんで、あっという間にもう終点という大満足の鉄道旅。小海線は、夏は標高が高くて涼しいでしょうし、秋は紅葉が美しい路線ですが、満天の星空が一番きれいに見える冬、それもクリスマスの時期は格別におすすめです。