1970年代のレトロなデザインが装いにエッジを添える
そんなトム フォードのレザーグッズとして、もうひとつ見逃せないのが新作のショルダー型。今まで彼が手掛けるレザーアイテムと言えば、漆黒のシボ付き革がひとつの定番。しかしこの新作では、キメ細やかにしてソフトかつ温かみあるブラウンレザーをフィーチャーしています。
聞けばこのメッセンジャーバッグは、かつてのアメリカ映画、『大統領の陰謀』(1976年ワーナー・ブラザース)でダスティン・ホフマン演じる新聞記者から発想を得たものとか。なるほど、どこか馴染み感を漂わせるルックスは、70年代をひとつのエッジとしているのです。そう、少しばかりレトロな雰囲気こそ、希代の魔術師が狙いを定めた新たな“遊び”。ある意味非常にオーセンティックなルックスに加え、仕立てや縫製も熟練の職人メイドゆえに、コンサバティブなメンズ服全般的に相性抜群です。
しかし、ラグジュアリーなゴールドジップやフロントのロゴネームがさり気なくモードのエッジをアピールし、分かる人には分かる高感度なスタイルに仕上るのです。熟年男子のスタイルアップは、このくらいの匙加減こそ失敗しない大切なコツ。性急に手を広げることなく、革小物のアップデートから徐々に進めていきましょう。