JBpress autographの編集陣がそれぞれの得意分野でお薦めを紹介する連載「RECOMMENDED」。第11回はスタイリストの櫻井賢之さんがボッテガ・ヴェネタの「ザ・ボディ ポーチ」を紹介します。

スタイリスト=櫻井賢之 撮影=唐澤光也(RED POINT)(初出:2020年12月25日)

〝ボッテガ・ヴェネタ〟が誇るしなやかなラムレザー(羊革)を使った、クロスボディバッグ。アイコンと呼べるのは、ストラップに配されたトライアングルモチーフのバックルだけ。この潔いミニマリズムに、新しい感性をもつ世界中の男女が魅せられている

性差を超えたものづくり

 現在、僕が最も注目しているブランドのひとつが、〝ボッテガ・ヴェネタ〟です。2018年からダニエル・リーというクリエイティブディレクターのもとで大胆なリブランディングを果たしたこのブランドは、今までの性差のカテゴライズにとらわれない服づくりが持ち味。ウィメンズのキュロットのようなシルエットをメンズに取り入れたり、その逆にマニッシュなコートをウィメンズに取り入れたりと、ジェンダーレスなコレクションを展開しています。

 彼のコレクションを見ていると、洋服の似合う似合わないは、性別ではなく着る人のパーソナルに依るものだと気付かされる。この新しい感性に、スタイリストとして大いに刺激を受けるのです。

 

使い方だって決めつけない

バッグの縁にはマグネットのフレームが内蔵されており、がま口のようにさっと開く機能性も魅力。内側にはジップも配されているので、大切な荷物はしっかり守れる

 そんな現在の〝ボッテガ・ヴェネタ〟の中で、僕がぜひ〝挑戦〟したいと思ったのが、こちらのクロスボディバッグです。ステッチをほとんど露出させず、バゲットのような丸みを帯びたフォルムに仕上げたそのデザインは、一見ウィメンズのように見えますが、男性が持っても決して違和感がない。むしろオーバーサイズでブラックカラーの服を着ることの多い僕のようなタイプには、こういったデザインのバッグのほうが似合うんじゃないかな?と思います。普段はクルマ移動が多いので、これくらいのサイズのバッグのほうが使い勝手もよいですし。

『ザ・ボディ ポーチ』という名前の通りに、ボディにクロスがけしてもよいのですが、手にぐるっと巻き付けるように持って、セカンドバッグ的に使っても格好いい。すべては身に着ける人次第です。ジェンダーだけではなく、持ち方もカテゴライズしないこのバッグ、実に〝ボッテガ・ヴェネタ〟らしいな、と感心してしまいます。