「頑張ってきて良かった」

 目標としてきた大会をいい形で終えた2人にとって、結成後はめまぐるしく過ぎていったという。

 カップル結成後、フリーダンスの振り付けのため渡米したがコロナの感染拡大により急遽帰国。国内で練習しながら、6月には西山の拠点であり2人の拠点となったクリケットクラブのあるカナダ・トロントへ向かった。だが関係機関の不手際で西山は23日間の隔離期間を強いられた。ようやく解放された後リズムダンスの振り付けを行い、そして拠点での練習がスタートしたが、全日本選手権までは半年も残されていなかった。

「その中でも全日本で戦えるレベルにあげるために、アンドリュー・ハラム先生、ジョイ・ラッセル先生、トレイシー・ウィルソン先生、バレエの先生にも氷上練習をサポートしてもらい、自分たちができることを毎日繰り返してきました。沢山のサポートがあって、短い期間だけどこのレベルまで持っていけたのかなと思います。この半年に悔いはなくて、できることは全部やってきたと思える状態で日本に帰ってきました」

 言葉を付け加えつつ、笑った。

「アンドリュー先生の指示のもと、毎日ちょっとずつ振り付けを変えていました。『昨日どこ変えたっけ?』と頭がついていかないときもありました」

 高浪も「日々大変でした」と語り、そして続けた。

「最後、全日本の演技を映像で観ました。『頑張ってきて良かった』と思えました」

 2人の充実した日々は、「喧嘩は一度もありませんでした」(西山)という言葉にもうかがえる。

「これまでの経験から僕の場合はコミュニケーションを大切にと気をつけました。ちょっとしたことを言って相手を傷つけてしまったらと気にし過ぎて、伝える事を止めてしまい、後にそれが自分の中で不満になって最後に爆発する。そういう経験があるからこそ、話をすることは僕にとって苦手な部分だけれど、大切で必要な部分だから、練習の一環として頑張ろうと考えて過ごしてきました。日々思ったことは言えるように成長できたかなと思います」

 高浪はこう表した。

「方向性は一緒。真瑚君の目標を知っているし、自分の目標も同じです。同じ目標だからこそ私のためを思って言ってくれると分かるし、信頼があります。自分はこういうところをやらないといけない、目標に向けてやらないといけないと捉えることができるので、前を向けています」