日本でも注目度が高まるフィギュアスケート・アイスダンスで、新カップルが誕生。ともに大学2年の高浪歩未(たかなみあゆみ)、西山真瑚(にしやましんご)組は、今年の3月14日にそれぞれのSNSでカップル結成を発表し、シニアデビューシーズンに向けて準備を準備を始めています。結成の経緯からコロナ禍での練習、今後の目標など伺いました(全2回)。

文=松原孝臣

高浪歩未・西山真瑚組

入国時のトラブルで得られたもの

 笑顔が何度もこぼれた。未来を語る表情は明るさにあふれていた。

 フィギュアスケート・アイスダンスの世界で、高浪歩未と西山真瑚は新たなスタートを切った。

 今年3月14日にパートナーとして歩んでいくことを発表。シニアデビューシーズンへ向けて準備を進めてきた。

 現在、2人はカナダにいる。6月下旬に日本を旅立ち、以前から西山が拠点としていたトロントの「クリケットクラブ」で練習をスタートするためだ。

 ただ思わぬことが起きて予定通りとはいかなかった。

 西山は語る。

「カナダ政府は海外からの入国者に14日間の隔離を求めています。入国して1回目のPCR検査を受け、隔離期間中の8日目に検査します」

 ところが検査結果が届かなかった。14日目に検査会社に連絡すると、「ラボであなたのキットはなくなりました。もう1回キットを送るのでお願いします」と言われた。

 あらためて送ったが、なかなか結果が出ない。

「普通はラボに届いて72時間以内に結果が出るそうですが、結局5日間くらい待つことになってしまいました」

 ようやく結果が届いて隔離期間は終了した。

「最後の3日間は検査会社に問い合わせたりカナダ保健省に連絡したりじたばたしましたが、ある意味そのおかげで英語で電話をすることに躊躇しなくなりました」

 大変だったであろう出来事を、楽しそうに語る。その表情と言葉に、人柄が表れているようだった。

 スムースに14日間で終了した高浪は、3日間クリケットクラブで練習し、振り付けのためにバンクーバーに一足早く移動した。

「やれることはやっていたけれど、パートナーがいないのは寂しいと思っていました」

 穏やかな笑顔を見せる。

 計画通りではなかったが無事合流し、2人そろっての振り付けは始まった。