『透明人間』に続き『ドラキュラ』準備中
日本では公開が延期されたが、アメリカをはじめ世界各国では既に公開済み。わずか700万ドルの製作費ながら、2月24日に全米公開された本作は第1位を獲得、世界興収1億2300万ドルをたたき出している。さらには新型コロナウイルスの影響から3月20日、異例の速さでデジタル配信をスタートした。これに激怒した世界最大のシネコンチェーン、AMCはユニバーサル・ピクチャーズ作品上映のボイコットを表明する事態にまで発展している(が、これはまた別の話)。
一方で、このヒットに手応えを感じたユニバーサルは『ドラキュラ』のリブート版を準備中。企画・開発を手掛けるのは本作を製作し成功に導いたジェイソン・ブラム率いるブライムハウスというのも心強い。同社は『パラノーマル・アクティビティ』(07)をはじめ、アカデミー賞作品賞候補となった『セッション』(14)『ゲット・アウト』(17)など低予算・高品質の作品で高評価を得た気鋭のプロダクションとしても知られる。
新機軸でモンスター映画をリスタート
実は2012年、ユニバーサルは大成功を収めたマーベル・シネマティック・ユニバースに追随すべく、往年のホラー映画を連続リブートする“ダーク・ユニバース”計画を発表。だが、第1弾『ミイラ再生』(32)をリブートしたトム・クルーズ、ラッセル・クロウ共演の『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(17)が興行的に失敗、評価もさんざんだったことから、続くハビエル・バルデム主演『フランケンシュタインの花嫁』、ジョニー・デップ主演『透明人間』の製作が中止に追い込まれた苦い経験がある。
その後、改めて単独作品として仕切り直し、監督の作家性を打ち出した新機軸のモンスター映画は、『透明人間』の全米ヒットを見ても今後の展開に大きな可能を秘める。『ドラキュラ』を開発中のブライムハウス以外にも、ユニバーサル向けのモンスター映画を企画・開発するプロダクション、監督の名前は既にいくつか挙がっているだけに、その後の続報を待ちたいところだ。
そして、新型コロナ禍明けの公開となる日本での興行は果たしてどうなるか。映画史的にも、モンスター・ホラー映画がヒットする土壌を持つ日本だけに、まずは『透明人間』の公開日を待ちたいところだ。