文=岡崎優子

監督は2010年「世界でもっとも成功したホラーシリーズ」としてギネスブックに掲載された「ソウ」シリーズ全作の脚本ほか、出演、製作総指揮などを手掛けたリー・ワネル 
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エンターテインメントの代表的存在のひとつなのに、autographではなぜか、これまで純粋な映画記事がなかった。しかし、ついに始めることとなった。これからはじまる岡崎優子さんの連載では、ジャンルにとらわれることなく、さまざまな映画を取り上げていきたいと考えている。ご期待ください。

 

約3カ月ぶりに洋画メジャー作品が公開

 「文化通信」の発表によると、新型コロナウイルスの影響で公開が延期・中止になった映画は5月17日現在、累計219本。試写も2月末から続々中止となり、新作を紹介しようにも、限られた情報の中ではなかなか厳しく、実際、いつ公開されるかも分からない状況だった。

 そして5月25日、ようやく緊急事態宣言解除が発表され、「近日公開」となっていた新作の公開日もこれから続々決まることだろう。そんな中、いち早く3月27日から延期されていた『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の公開が、晴れて6月12日に決まった。洋画メジャーで全国公開する新作は、3月20日公開の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』以来、実に3カ月ぶり。

 改めて言うまでもなく、本作は19世紀を代表するイギリス女流作家ルイーザ・メイ・オルコットの世界的ベストセラー小説「若草物語」を映画化したもので、これまで何度も映画、TVドラマ、舞台・ミュージカル、アニメ、漫画で描かれてきた。ハリウッド映画だけでも、『マイ・フェア・レディ』(64)のジョージ・キューカー監督がキャサリン・ヘプバーン主演で映画化した1933年版、ジャネット・リー、ジューン・アリソン、マーガレット・オブライエン、エリザベス・テイラーの四姉妹で描いたマーヴィン・ルロイ監督の1949年版、ウィノナ・ライダー、スーザン・サランドンらが出演したジリアン・アームストロング監督の1994年版など、いずれもアカデミー賞各部門で候補に挙がった名作揃いだ。

 

オリジナルは1933年!?

 同様に、まだ新たな公開日は決まっていないが、これまで何度も映画化されてきた世界的な有名小説を基にした作品がいくつか待機している(前置きが長かった~)。その筆頭は、5月1日に公開が予定されていた『透明人間』だろう。原作は1897年に発表されたH・G・ウェルズの古典的SF同名小説。

1933年版『透明人間』は『チップス先生さようなら』(1940)のR・C・シェリフが脚色、『カサブランカ』(1944)のアーサー・エディソンが撮影を担当した