一般社団法人 日本自動認識システム協会
バイオメトリクス部会 部会長
森原 隆 氏

 日本政府が提唱する未来社会へ向けたコンセプト「Society 5.0(ソサエテイ 5.0)」は、デジタル変革を目指す企業にとっても重要な指標の一つ。そしてこのコンセプトの重点ポイントの一つとして挙げられているのが「(あらゆる生活者に)必要な情報が必要な時に提供されるようになること」だ。

 認証領域の業界団体である一般社団法人日本自動認識システム協会(JAISA)でバイオメトリクス部の部会長を務める森原隆氏は「その重責の一端を担っているのが生体認証の領域だと自負しています」と語る。はたして、日本の業界関係者は生体認証の現状と未来をどう捉えているのだろうか。

2026年には50兆円市場?! 劇的な成長が見込まれる生体認証領域

「2016年時点で約10兆円規模だった生体認証のグローバル市場は、10年後の2026年には約5倍の50兆円規模にまで成長すると言われております。事実、現状でも年率17〜18%のペースで拡大し続けています」

 森原隆氏は、こう語る。顔、指紋、静脈などを用いた生体認証技術がさまざまな場面で導入されるようになったとはいえ、これほどまで巨大な市場となることが見込まれていることに驚く人は多いだろう。しかも地域別に見た場合、最も大きな市場となりそうなのがアジア・太平洋地域とのこと。

 生体認証を含む自動認識テクノロジー関連の企業によって結成されたのがJAISAだが、ここでバイオメトリクス(生体認証)部会の部会長を務める森原氏としても「大きな期待に貢献するべく活動を加速しているところ」だと話す。これまで画像認識やRFIDに多くの注目が集まってきた自動認識技術の領域だが、近年は生体認証も大いに熱を帯びているとのこと。

「政府が示したソサエテイ 5.0は、多様なデジタル技術の活用による未来社会について、いくつもの目標を示していますが、中でも特に重点が置かれているものの一つが、あらゆる生活者に必要な情報が必要な時に提供されるようになることです。生体認証はまさにこれを実現するために不可欠な技術だと言えますし、すでにさまざまな業界の企業からその活用のあり方について相談や問い合わせが相次いでいます」(森原氏)

 生体認証技術に携わる各企業のキーパーソンによって形成されているJAISAバイオメトリクス部会は、業界の活況をさらに後押しする活動にも着手している。

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