「投資型」クラウドファンディング
このタイプは出資者に対し金銭でのリターンが発生するため、前掲の2つとは違い投資や資産運用目的で活用される。「金融型」とも。購入型に比べると数は少ないが、市場規模では圧倒的に上回っているのも特徴。上述した矢野経済研究所の調査によれば、2016年度の市場規模を類型別にみた際、購入型が約62億円、寄付型が約5億円に対し、投資型(金融型)全体では約675.4億円。クラウドファンディング市場の9割以上を占めており、市場拡大に大きく貢献している。
今回のマップでは一般的な3類型に加え、不動産特化で有名なサイトを別途「不動産投資」に分類した。
融資(貸し付け)型領域
「ソーシャルレンディング」「クラウドレンディング」とも。資金調達をしたい企業に対して、出資者から集めた資金を「融資」する。そして出資者にはリターンとして利子の一部が分配される仕組み。一般的な預金等よりもハイリターンが期待できるため、投資家からの注目度も高い。
●Crowd Bank
国内で初めての、証券会社が提供する融資(貸し付け)型クラウドファンディングサイトとして有名。これまで個人では難しかった少額からの投資や、短期間からの運用を可能にしている。日本クラウド証券が運営。
株式投資型領域
出資者は非上場企業の株式を購入できる。非上場の株なので当然流動性はないが、リターンとして業績に応じた配当を受け取れる可能性がある。個人では難しかった「非上場の有望ベンチャーへの投資」を可能とする仕組みで、成長市場の一つ。
●Fundinno
資金調達を行いたい中小・ベンチャー企業と出資者(投資家)を結ぶプラットフォームを提供。出資者側のリスクが高くなる領域のため、同プラットフォームでも応募企業の審査や資金調達完了後の企業サポート等に力を入れている。運営は日本クラウドキャピタル。
ファンド型領域
出資者は売上金の一部や製品、サービス等、出資した事業の成果に応じたリターンが受け取れる仕組み。金銭以外のリターンを受け取れることも多いため、一部購入型的な要素も含まれるが、こちらはプロジェクト成立時点でリターンは確定されず、売上等に応じて変動するという特徴がある。これは事業者側にとって、リスクをある程度分散できるというメリットにもなる。
●セキュリテ
経済的な価値と社会的な価値の両方を追求したファンドを掲載。ファンドの審査時、評価軸の一つにグローバルな指標である「持続可能な開発目標(SDGs) 」を採用している。運営はミュージックセキュリティーズ。
不動産投資領域
投資型クラウドファンディングサイトの中には不動産系プロジェクトを中心に扱う物も多く、不動産投資家からも関心を集めている。通常多額の準備資金が必要となる不動産投資を少額から始められる上に、プロジェクトへの出資を通じて効果的な物件の利活用法を学ぶこともできるからだ。
●Crowd Realty
不動産に特化した投資型クラウドファンディングサイト。国内外の不動産関連プロジェクトを取り扱う。地域再生的な性質を持つものなど、ユニークなプロジェクトが多い。運営はクラウドリアルティ。