日本でオープンイノベーションを加速させるには?
後半のパネルディスカッションでは、日本でのオープンイノベーションについて語られた。
美谷氏は日本のスタートアップについて「技術的には面白いが課題設定が甘いことが多い」とコメント。参考としてフランスのブランドやプロダクトマーケティングの戦略に触れた。同じ東アジアとして、中国の深セン市が新しい分野、ドローン、AI、ロボティクスなどに強く、その影響を受けた台湾がハードウェア部門で盛り上がっているとも述べた。イスラエルではブロックチェーンやAIに関するイベントが多く、アメリカではGoogle やFacebookのM&Aにより吸収され、袋小路になっているとの考えを参加者と共有した。
スタートアップとのコラボレーションを狙う企業にとってスタートアップの選定は非常に重要だ。有名な企業が既に大手とコラボレーションしていく中、どのように国内外のスタートアップ情報を集めるのだろうか。
美谷氏はこの疑問に対して「スタートアップに調査を依頼すべきです」と回答する。「スタートアップについて一番詳しいのはスタートアップですし、調査をすることでスタートアップ自身も大企業が何を知りたいのか、何を課題として持っているのかを知ることができます」と語った。
また、Christian氏も美谷氏も「人とのつながりを密にすること」や「スタートアップが日本を訪問するときにオフィスを貸し、ワークショップなどを開催」することを提案した。場所を提供し交流を深めることでインプットの場にもなりうるメリットを示唆した。
海外から見て、日本に必要なものを聞かれると、Christian氏は日本企業のマインドセットチェンジの必要性や迅速に統一した規格を出すことの重要性を繰り返し語った。一方で美谷氏はデザインやプレゼンテーションの向上、それぞれの企業が課題意識を持つことの必要性を説いた。
「日本のスタートアップ業界では、まだ東京オリンピックのPRイベントのような官民の素晴らしい協力体制の獲得にまで至っていません」(美谷氏)
官民が協力し、課題設定を行うことに日本のスタートアップ振興の糸口が見えそうだ。
取材を終えて
個人や会社単体ではアイデアの幅も技術も狭い。より多くの人と関わり、お互いを刺激しあってこそイノベーションは生まれるのだろう。
最後に、Christian氏はオープンイノベーションのメリットとして以下を語った。
・社内だけだと限りあるノウハウへのアクセスになるが、外部と組むことで新しいアイデアやインスピレーションを得られて相乗効果がにつながる
・クラウドソーシングのプロトタイピングによりタイムマネジメントの短縮が可能となる
・リスクヘッジ、柔軟性の向上が可能に
・才能のある人材が獲得できる
さらに周りに目を向ける必要性がありそうだ。