
1050PSを公道とサーキットで試す
スペインのセビリア地方で行われた国際試乗会では、公道とサーキットの両方で849テスタロッサの実力を試すことができた。
先に公道での印象を紹介すると、とにかく扱い易く、快適なことに驚かされる。しかも、ドライバーの操作に対する反応がスムーズで、これからどんな動きをするかを予測しやすい。

こうした扱い易さ、そして快適性は1ヵ月ほど前に紹介したアマルフィに通ずるもの。そこで、この点をフェラーリの技術者に指摘したところ「2台は同じフィロソフィで開発されたので、似ていると感じるのは間違っていない」との答えを得た。モデルのポジション、使われるテクノロジーが異なっていても、共通のテイストに仕上げることは、フェラーリのようなラグジュアリー・ブランドにとって極めて重要なことといえる。

いっぽうのサーキット走行では、これまでにないほどの安心感を得ることができた。どんなに経験を積んでも、それなりのペースでサーキットを走れば緊張し、心拍数も上がるのはやむを得ないところ。しかし、849テスタロッサのサーキット試乗ほど心拍数が上がらなかったことも珍しい。それは、クルマが常に安定しているとともに、グリップ限界に近づいたときにタイヤから適切なインフォメーションが伝えられたからだろう。

また、1050psものパワーがあるにも関わらず、限界的なコーナリングをしても後輪が唐突に流れたりしない特性はSF90の血筋を受け継いだもの。この点、同じフェラーリの最新スーパースポーツカーでも、一旦リアのグリップが失われると急激にスライドし始める296GTBとは味付けが大きく異なっている。これはSF90や849テスタロッサが3モーター方式ハイブリッドシステムを搭載しているから可能になったことで、後輪駆動の296GTBでは真似しがたい点である。
もっとも、SF90と849テスタロッサを比べると、後輪が滑り始める直前のインフォメーションは849テスタロッサのほうが豊富に感じられたほか、849テスタロッサはスタビリティコントロールが作動している状態でも後輪のスライドを許容する傾向にあった。こうした特性はFIVEの搭載により実現できたと考えられる。

いずれにせよ、849テスタロッサの最大の特徴は、1050psという途方もないパワーを備えているのに快適で扱い易く、サーキットでは安心して走れるのにいざとなれば振り回すこともできる点にある。これらは、技術の進歩が可能にした二律背反といっていいだろう。
フェラーリ 849テスタロッサの試乗動画は大谷達也氏のYouTubeチャンネルThe Luxe Car TVで公開中です
全長×全幅×全高:4,718×2,304×1,225 mm
ホイールベース 2,650 mm
トレッド:フロント1,678 mm / リア1,673 mm
エンジン:3,990cc V8ツインターボ
エンジン最高出力:830PS / 7,500rpm
エンジン最大トルク:842Nm / 6,500rpm
最高回転数:8,300rpm
モーター最高出力:220PS(eDrive モード:163PS)
システム最高出力 :1050PS
バッテリー容量 7.45 kWh
航続距離 (eDriveモード):25 km
トランスミッション:8速F1デュアルクラッチ ギアボックス
乾燥重量:1,570 kg
重量配分:フロント45% / リア55%
タイヤ:フロント265/35 R20 / リア325/30 R20
最高速度:330km/h
0-100km/h:2.3秒以下
0-200km/h:6.35秒
100-0km/h:28.5m
200-0km/h:108.0m
フィオラノラップタイム:1’17.500
