10月8日に発表された日産の新型リーフ。ファストバックのクロスオーバースタイルに生まれ変わった。空力に考慮されていて、Cd値はクラストップレベルの0.26を実現している。価格はB7 Xが518万8700円、B7 Gが599万9400円
長い歴史を持つ量産型EV
クルマはエンジンで走るものだとずっと信じて疑わなかった日本人にとって、ハイブリッド(HV)という新たなパワートレインを積んだトヨタ・プリウスの登場は衝撃的でした。海のものとも山のものともつかぬこのHVに、当初は市場も半信半疑だったものの、いまでは誰もが当たり前のように受け入れるまでに至っています。同じように、エンジンではなくモーターとバッテリーだけで走る電気自動車(EV)の日産リーフが2010年に誕生した当時は、疑心暗鬼の声も少なくありませんでした。ところがそんなEVも、のろのろした足運びでありながらも台数を着実に増やしつつあります。プリウスとリーフの、HVとEVという新しい選択肢を広く布教したという功績は、それなりに評価するべきだと思っています。
2010年に登場した初代・日産リーフ
そんなリーフがフルモデルチェンジを果たし3代目となりました。量産型EVとして3代目を迎えるのはこのリーフが世界初で、どこよりも長い歴史を持つEVとなっています。それはデータからも証明されていて、初代からの販売台数は70万台以上、総走行距離は280億kmを超えたと言われています。同時に、日産はEVに関する大量のデータと実績とノウハウを手に入れているわけで、新型リーフの開発にも存分に活かされています。
78kWhの駆動用バッテリーを搭載し、B7 Xというグレードでは最大航続距離が702kmと公表されている(B7 Gは685km)。クルマから自宅へ電力が供給できるV2Hにも対応する
150kW充電に対応
78kWhの駆動用バッテリーを積む新型リーフの最大航続距離は702km。通常の使用で700km以上は難しいと思いますが、公称とはいえ700km台というのは頼もしい数値です。充電性能も向上していて、急速充電器を使ってバッテリー残量10%から80%までにかかる時間は、旧型が90kW充電器で約50分かかったところ約45分、最近になってようやく増え始めた150kW充電器では旧型の約50分に対して約35分と大幅な短縮を実現しました。この充電性能であれば、自宅に普通充電器がなくてもなんとかなるかもしれません。
急速充電用のポートは左側にある。普通充電ポートは反対側
また、“ニッサン・コネクト”によるグーグルマップと連携するルートプランナーを使うと、目的地までの走行ルートに応じてバッテリーの温度管理を自動的に行うだけでなく、バッテリー残量や充電スポットの空状況をリアルタイムに検知して、最適なルート案内をしてくれるそうです。これで、常にバッテリー残量と充電スポットを気にしながら走るという長距離ドライブの面倒の解消が期待できます。

全高は1550mm。ただしプロパイロットとせめぎあい
新型リーフのボディサイズは全長4360mm、全幅1810mm、全高1550mm、ホイールベース2690mmで、機械式駐車場対応の車高になっている点が特徴です。ただし、高速道路でのハンズオフドライブが可能なプロパイロット2.0を装着すると1565mmとなってしまうので注意が必要です。

全長は従来型より120mmも短くなり、最小回転半径も0.1m小さくなっています。全長が短くなっても室内が狭くなった印象はありません。むしろ前後席の足元スペースは従来型よりも余裕があるように感じます。
インテリアの雰囲気はスッキリとした印象が強く、それでいて使い勝手や視認性にも優れている
遮熱機能の付いた調光パノラミックサンルーフは日産初の装備で、これが室内に開放感をもたらす一役を担っています。
オプション装備の調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)
