写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ(左)、共同通信社(右)
物価高で家計防衛意識が強まる中、各地で地域の主役交代を演じているのがディスカウントストア(DS)だ。「とにかく安い」が最大の強みだが、最近は高級和牛など生鮮品で付加価値を打ち出し、従来の「安さ一辺倒」のイメージを覆しつつある。他方、PB偏重モデルに苦戦する例もみられる。流通業界の専門誌『激流』編集長の加藤大樹氏に、DS業態の低価格戦略の最新事情を聞いた。
地域小売りの主役を勝ち取りつつあるディスカウントストア
──物価高の中でディスカウントストア(DS)が存在感を増しています。従来の総合スーパー(GMS)や食品スーパー(SM)と比べ、どのような特徴や強みを持つ業態なのでしょうか。
【月刊激流】1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。
加藤大樹氏(以下、敬称略) 『激流』では、食品や日用雑貨を中心に価格の安さを打ち出している小売業態を総称してDSと呼んでいます。ドン・キホーテを全国展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)、関東圏と近畿圏で食品中心のディスカウントスーパーを展開するオーケー、九州発祥のディスカウントストアで、低価格のスーパーセンターとして成長を遂げているトライアルホールディングス(HD)などが挙げられます。
もちろんGMSやSMも安く売る努力をしていますが、DSはその中でも「低価格」を明確に集客の柱に据えているのが最大の特徴です。価格の安さを徹底しようとすればどうしても薄利多売になりますが、それを補うために独自のローコストオペレーションを取り入れ、できるだけ人手をかけずに売る仕組みを構築しているところがDSの共通点だと思います。
低価格やローコストオペレーションを実現する戦略や工夫は、各社とも少しずつ違います。例えばドン・キホーテは“安さの見せ方”がうまい。商品全てが安いというわけではなく、相応の粗利を見込める商品を上手にミックスして品ぞろえや売り場構成をしているのですね。こうした強みの違いが、各社の集客や業績を微妙に左右しているのだと思います。






