TOPPANホールディングス 取締役 専務執行役員 CFO 財務本部担当の黒部隆氏(撮影:榊水麗)

 独自の印刷技術にルーツを持ち、エレクトロニクス部品やパッケージ、企業のDX支援など多様な事業を展開するTOPPANグループ。次々と出てくる事業アイデアをどのように精査し、投資を行っているのか。また、課題である収益性改善にはどのような手を打っているのか。TOPPANホールディングスでCFO(最高財務責任者)を務める黒部隆氏に聞いた。

印刷営業で培った顧客の課題解決力

――TOPPANは、印刷を祖業としながらも時代とともに事業領域を広げてきました。近年はDX支援の取り組みにも注力していますが、その取り組みを支える強みは何でしょうか。

黒部隆氏(以下、敬称略) 当社は長年印刷業を軸として、2万社を超えるお客さまと接してきました。しかも、単なる取引関係にとどまらず、マーケティングの段階から深く入り込み、お客さまが何に困っているかを理解した上で、その解決策を一緒に探る関係性を築いてきました。

 一般的に企業のパートナーは、コンサルティング業なら課題解決策の提案まで、SIerならITの範囲、広告代理店なら施策の実施、というように役割が限られることが多いと思います。しかし当社は、マーケティングや業務プロセスに関する課題解決策の提示から、システム開発、最終的な施策の実施までワンストップで提供できるのが特徴です。

 印刷業は元々、単に印刷物を納品するだけの仕事ではありません。個々のお客さまのニーズを伺って、広告や販促など、目的に合わせたアウトプットを提供する機能を持っていました。時代とともに、紙からデジタルへとアウトプットの形が変わり、お客さまに提供できる価値、領域が大きく広がったと考えています。