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民間企業によるロケット開発、人工衛星を利用した通信サービス、宇宙旅行など、大企業からベンチャー企業まで、世界のさまざまな企業が競争を繰り広げる宇宙産業。2040年には世界の市場規模が1兆ドルを超えるという予測もあり、成長期待がますます高まっている。本連載では、宇宙関連の著書が多数ある著述家、編集者の鈴木喜生氏が、今注目すべき世界の宇宙ビジネスの動向をタイムリーに解説。
今回は、鈴木氏によるispace(東京・中央)の袴田武史CEOへのインタビューの模様をお届けする。袴田氏が掲げる「地球と月の間に新たな経済圏を築く」というビジョン。その実現に向け、なぜ「月の水」に注目するのか 。
日本初の月面着陸船になるはずだった…
2025年6月6日の午前3時10分、ispace(東京・中央)の月着陸船「レジリエンス」は、高度100kmの月周回軌道上から降下を開始した。しかし、着陸直前に通信が途絶。その後、袴田武史CEOによってミッションの終了が宣言された。この試みに成功すれば、レジリエンスは民間機としては日本初の月面着陸船になるはずだった。
6月24日には「技術要因分析の報告会」が開かれ、墜落に至った要因が「レーザーレンジファインダー」(LRF)と呼ばれる高度測定器にあったことが報告された。今後はその解析をさらに進め、2027年以降に予定される後続ミッションに生かすという。
6月24日に開催された「技術要因分析の報告会」では、レジリエンスの状態を示すテレメトリデータを元に詳細な分析結果が報告された。Ⓒispace
以下の袴田CEOへのインタビューは報告会以前に行ったもの。そのため主な話題は月面を目指すispaceの後続ミッションにおける戦略、さらには同社が注目する「月の水」に及んだ。






