アルファロメオが「Alfa Romeo Premium Drive」という一般向けのちょっと贅沢な試乗プログラムを今回、ライフスタイルメディアに公開した。プロのドライバーとともにアルファロメオに試乗して、一般道と高速道路で往路はプロ、復路は自分がアルファロメオを運転するというこのプログラム。試乗したPHEVの「アルファロメオ トナーレ」の実力やいかに?

今回、試乗したアルファロメオ トナーレのPHEVモデル「ALFA ROMEO TONALE PLUG-IN HYBRID Q4」。ご一緒したドライバーは写真の藤井誠暢氏。日本を代表するレーサーであり、かつモータースポーツ関連を中心に様々なビジネスで話題を集める辣腕経営者でもある

アルファロメオのマルとバツ

私は自動車ジャーナリストではないものの、メディアの自動車記事の編集担当となることが多い都合上、しばしば試乗会などにも誘ってもらっている。アルファロメオとも、ステランティスグループの1ブランドになる以前からなにかと縁があり、先だって「Alfa Romeo Premium Drive」なる自動車ジャーナリストではないメディアの人に向けたイベントに誘ってもらったので、意気揚々と出かけていった。

創業地・ミラノ市の紋章である聖ゲオルギウス十字と14~15世紀にミラノ公だったヴィスコンティ家の紋章であるサラセン人を呑み込む大蛇が描かれたアルファロメオのエムブレム。ALFAはAnonima Lombarda Fabbrica Automobili(ロンバルディア自動車製造会社)の頭文字、ロメオは1918年に合併したニコラ・ロメオ技師が興した有限会社ニコラ・ロメオ技師有限会社に由来する。ちなみにフェラーリの創業者エンツォ・フェラーリがアルファロメオのレース部門から独立したのは有名な話

そんな事情なので、自動車好き、アルフィスタ(アルファロメオファン)の方は、アルファロメオの新時代を告げる久々のコンパクトカー「ジュニア」も登場間近なので、大谷達也さん渡辺慎太郎さんの記事にご期待いただきつつ、この記事はあなた向きではないかもしれないことをご了承いただきたい。

一方、アルファロメオをあまり知らない人には、その魅力をここで伝えたい。

アルファロメオの魅力は

・ドライバーでもパッセンジャーでも楽しい
・高級車のなかでは価格が高いとも言い切れない
・クルマ好きから一目置かれる
・他人とカブりづらいしカブると嬉しい
・眺めてうっとりできる
・分かる人には分かる作り込みに所有欲が満たされる

このあたりだとおもう。

一方、弱点は

・パッと見だと良さがわかりにくい
・ラインナップにどういう位置づけのクルマがあるのか、いまひとつ理解されていない

このあたりだとおもう。

ということで、まずは基本的なところを整理したい。

現状、アルファロメオのラインナップは「ジュリア」「ステルヴィオ」「トナーレ」の3車種しかない。アルファロメオは、小型車から大型車まで、多数のラインナップを揃えるブランドではないので、実際は分かりやすい。

アルファロメオ ジュリア
サイズは全長4,655✕全幅1,865✕全高1,435mm。価格は717万円(税込)

まず、ジュリアは大体メルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズ、アウディA5くらいの大きさのセダン。ステルヴィオはそのSUV版、ととらえておいていただきたい。SUVという意味ではポルシェ マカンもサイズ的にはこのあたり。

アルファロメオ ステルヴィオ
サイズは全長4,690✕全幅1,905✕1,680mm。価格は865万円(税込)

また、この2車種にはQUADORIFOGLIO(クアドリフォリオ=幸運の四葉のクローバー)という高性能バージョンがあり、アルファロメオはあんまり言いたがらないけれどフェラーリ起源のV8エンジンをV6化したものを搭載している。

3つ目の「トナーレ」は「ジュリア」「ステルヴィオ」より1段小さい。

アルファロメオ トナーレ プラグイン ハイブリッドQ4 ヴェローチェ
サイズは全長4,530✕全幅1,835✕1,615mm。価格は762万円(税込)

2022年に登場していて、マイルドハイブリッドの前輪駆動モデルとプラグインハイブリッドになって後輪にモーターが追加された四輪駆動モデルが存在している。いわゆるCセグメントという、自動車業界の最大激戦区にいるクルマ。BMW X1、アウディ Q3、フォルクスワーゲン ティグアンあたりがこのクラス。

ざっくりと各車の出力と重量をまとめると

「ジュリア」2.0リッター 4気筒ガソリンターボ後輪駆動モデル
最高出力206kW(280PS)/5,250rpm・最大トルク 400Nm/2,250rpm、車両重量1,630kg
「ジュリア クアドリフォリオ」 2.9リッターV6ツインターボ後輪駆動モデル
最高出力375kW(510PS)/6,500rpm・最大トルク 600Nm/2,250rpm、車両重量1,710kg

「ステルヴィオ」 2.0リッター4気筒ガソリンターボ四輪駆動モデル
最高出力206kW(280PS)/5,250rpm・最大トルク 400Nm/2,250rpm、車両重量1,810kg
「ステルヴィオ」 2.2リッター4気筒ディーゼルターボ四輪駆動モデル
最高出力154kW(210PS)/3,500rpm・最大トルク 470Nm/1,750rpm、車両重量1,860kg
「ステルヴィオ クアドリフォリオ」2.9リッターV6ツインターボ四輪駆動モデル
最高出力375kW(510PS)/6,500rpm・最大トルク 600Nm/2,250rpm、車両重量1,960kg

「トナーレ」1.5リッター4気筒ターボハイブリッド前輪駆動モデル
最高出力117kW(160PS)/5,750rpm+15kW(20PS)・最大トルク 240Nm/1,700rpm+55Nm、車両重量1,630kg
「トナーレ」1.3リッター 4気筒ターボ プラグインハイブリッド四輪駆動モデル
最高出力132kW(180PS)/5,750rpm+33kW(45PS)+94kW(128PS)・最大トルク 270Nm/1,850rpm+53Nm+250Nm、車両重量1,880kg

細かい数字だとわかりにくいかもしれないけれど、それぞれスタンダードなモデルとパワーのあるモデルとをラインナップしている感じで、同クラスのプレミアムブランドのラインナップをぎゅっと凝縮したような格好だ。