文・撮影=松原孝臣 

プレッシャーがかかる試合も「楽しかった」

「ほんとうに楽しかったです」

 熾烈であったはずの試合を振り返り、心からの笑顔を浮かべる。スケートボード女子パークのパリオリンピック代表、草木ひなのだ。

 その試合とは、6月下旬、ハンガリー・ブダペストで行われたオリンピック予選大会の最終戦。決勝があった23日、草木は3本目で武器とする「540」を決めるなどして5位。見事、3枠ある日本代表に名を連ねた。

 日本には世界の上位で活躍する選手がそろい、激しいパリオリンピック代表争いが続いていた。その中で迎えた最後の試合、成績でランキングが変わり出場圏内も出場圏外もあり得た。大きなプレッシャーがかかって不思議はない。でも大会を迎えるにあたって重圧を感じることなく、「楽しかった」という。そこには予選大会を重ねる日々でつかんだ信念があった。

 草木は小学2年生のとき、母の影響でスケートボードに出会った。それから約5年、2021年の日本選手権で優勝し翌年も連覇するなど瞬く間に台頭。今春、土浦日大高校に入学した。

 成績もさることながら、草木に注目が集まったのは、スピードと怖さを知らないかのように果敢に挑む姿と高難度のトリックを披露する姿だった。スケートボードの魅力を存分に伝えていた。

 その土台を築いたのは拠点とする茨城県つくば市の「AXISスケートパーク」での日々にある。

「みんなと一緒に滑って、みんなが私のことを盛り上げてくれたり、切磋琢磨し合ってやっています。怖さもありますけど、それを軽減してくれるのが友達たちで、同い歳の男の子と一緒に滑ったりする中でうまくなれたと思います」

 年齢、男女を問わず滑る中でそのスタイルは形作られていった。

「楽しいと思える瞬間は数えきれないくらいです」

 スケートボードを始めてからの日々をこう表す。

 だが、スケートボードへの思いが揺らぐときもあった。